楼閣
10月も、もう終わってしまう。
忙しい月であった。
用事が多く、外出が続いた。
買い物の必要がいくつも発生し、出費がかさんだ。
長野と新潟へ、旅行に出かけた。
季節の変わり目にしっかり風邪をひき、月の後半はずっと調子が悪い。
健康診断を受け、メガネのメンテナンスを受け、行政書士試験に向けた学習を続けた。
忙しかったのは確かだが、振り返ってみれば、残っているものはほとんどない。
仕事をした記憶があるが、進捗があった印象もない。
むしろ、自分の地位が脅かされることがあり、でもなんだかすっきりした気分にすらなった。
日誌を振り返ったが、特筆するべきものはない。
記録を見て思い出したのだが、そういえば「櫻の園」を読んだ。
当然、チェーホフではない。
吉田秋生の漫画は電子書籍で少し読み始めたところだ。
それとは別に、ノベライズがあることを新たに知った。
ただ、ネットストアを探しても、在庫がない。
あきらめていたのだが、ふと思いつき、近所の図書館で検索をかけたら、見つかった。
映画のノベライズであるため、本編の筋をたどっている。
そのうえで、ノベライズらしく、登場人物の信条や背景に踏み込んでいる。
僕には情緒が備わっていないので、そういうものに触れても「そうなんだ」くらいの感想しかない。
本の末尾に解説が付けられている。
ノベライズの解説ではなく、映画の解説である。
著者は、おすぎ。
映画評論にパーソナリティが乗るのは苦手ではあるが、今回ばかりは適任だ。
どちらの性から見ても気味の悪さがぬぐえないように思える内容を、フラットな立場で評してくれる。
永遠と一過性のファンタジーを、現実の生々しさでとらえてはならない。
何度も見て、結局好きなのは、たばこが元の場所に戻るところである。
「一周して、元に戻ったようだけど、みんな変化している」という話にひかれる。
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