不揺
2012-06-01
東京に来て驚いたことは、人々が地震に驚かないことだ。
地震が発生すると、僕はどんなわずかな揺れであっても、本気で死を覚悟する。
東京に住むようになった時から今に至るまで、ずっとそうだ。
それというのも、地震の揺れに慣れていないからである。
故郷で地震をこの身で感知したのは、1991年10月28日に発生した地震のただ1度だけだ。
学校で授業を受けているときに、周防灘沖を震源とする地震が発生した。
その時は、控えめに言って、校舎内がパニックに陥った。
関東に在住経験のある人だけが冷静で、その冷静さが不審がられた。
田舎の人間特有の、異質な多数派が正統である少数派を迫害する、あの感じだ。
これからもずっと、地震に慣れることもないだろう。
いや、慣れない方がいいに決まっている。