頭竜
5時半、起床。
大浴場のサウナでは、バッハがまた長い話をしていた。
「土砂降りかよ」が、今日最初に発した言葉。
レストランで朝食。
和定食を選び、サラダやデザートはバイキング。
決められた献立の方が面倒がりの自分にとってはいいし、食品ロスもなくていいのではないか。
今日は、えちぜん鉄道に乗ることにする。
7年前に福井に来たときは、えちぜん鉄道福井駅は、建設中の北陸新幹線の橋梁上に仮設されていた。
東海道新幹線の建設時、阪急電車が新幹線の線路を走った、みたいな話を聞いたことがあり、本当にそんなことができるのかと思ったものだが、できるという確信をこの時に得た。
窓口できっぷを買う。
キャッシュレスならnanacoかiDかQUICPayで、と言われ、おとなしく現金払い。
高架のプラットフォームから、特徴のある「ふくいー」のアナウンスに送られて、出発。
福井口を過ぎ、三国港へと向かう線路に別れを告げると、列車は地表へ降りる。
市内を抜けると、九頭竜川と中部縦貫自動車道に挟まれる形で、先へと進む。
福井駅は電車の発着が多く、半ばラッシュのようだったのだが、この辺りは実にのどかで、気分が良くなる。
缶を買って乗ればよかったが、まあ帰りもある。
永平寺口駅に到着。
ここまで来たのなら永平寺に行ってみたいし、一乗谷にも訪れてみたいのだが、少し距離があるようなので、先へ進む。
出発から1時間ほどで、列車は勝山駅に到着。
古い駅舎で、中にはカフェもある。
ビールがあったかは、よくわからない。
7年前と合わせて、これでえちぜん鉄道を完乗した。
改めて思うが、えちぜん鉄道が好きである。
福井駅の活気、きれいな車両、田原町での路面電車線との乗り入れ。
そして、一方の路線は芦原温泉を通って、三国、東尋坊へ、もう一方は永平寺を経て、勝山へと、魅力的な終着駅がある。
市内の利用も便利だし、風景も穏やかで美しい。
女性アテンダントにもときめく。
一時期は事故が頻発し、廃線の危機もあったわけだから、ここまで残してくれたことに感謝したい。
というわけで、福井駅に戻ってきた。
その前に、夕食。
昨日は洋食にしたので、今日は地のものを求め、駅ビル内の居酒屋。
「福井尽くし」みたいなメニューがあり、スタッフにも勧められた。
「出てくるのに時間がかかります」と注意されたが、せっかくなので、それを選ぶ。
突きだし、刺身、焼き物、肉と続き、最後はカニのたきこみごはんが出てきて、とてもおいしかったものの、予告通り出てくるのに時間がかかった。
腹が膨れた感覚もなく、手持無沙汰に酒を頼む始末。
店内の空調が効いていて、寒いので熱燗を頼んだが、冷酒が出てきた。
値段も考えると、今後の食事選択方針を見直そうと思う。
出発前、福井駅に今日の宿を求めたのだが、直前過ぎたのか、適当なホテルで週末の予約を見つけることができなかった。
思案した結果、別の投宿地にした。
また、えきねっとでeチケット自由席を購入し、Suicaで改札を抜け、北陸新幹線。
また速達タイプのつるぎが来て、先頭2車両の位置まで歩き、自由席車両に乗る。
40分ほど乗ると、進行方向左手後方に打ち上げ花火が見えた。
金沢駅に到着。
10年前に来た土地勘に頼り、バスに乗って、今日は片町のホテルに投宿。
週末の繁華街だからか、片町は行き交う人々の活気があって、身構える。
「北陸に来たらこのホテルチェーン」と決めていて、昨日はそのホテルだったのだが、今日は予約が取れなかった。
「北陸と言えばこのホテルチェーン」と言うことで、こちらのチェーンに初めて泊まることにした。
フロントの手続きが電子化されていて、便利なのか不便なのか、判断しかねる。
エレベータでは、カードキーをかざした上で客室階のボタンを押す必要があり、容易に外来客を呼び込めないシステムになっているのだな、とこの時は思った。
客室の扉が多く並んでいて、さすがこのホテルチェーン。
部屋もきれいだし、字の多い本を気にしなければ、何も問題ない。
社長の顔写真がラベルに印刷されたペットボトルの水を、冷蔵庫にしまう。
最上階にある大浴場は、露天風呂を備えている。
そちらの方に行くと、ボディペインティングの人がいたので、場所を譲る。
場所柄、やはり気を引き締めておいた方がいい。
部屋に戻り、近くのコンビニで買ってきたビールとチューハイ2本を飲み、体操男子団体の試技を見ながら、就寝。
なぜか、体操男子の映像は快眠を誘う。