謝逃
小雨の中、渋谷に到着。
今日は山手線の乗り場から、階上に進む。
流れるプールのごとく身を任せ、ゲートを抜け、渡り廊下を進む。
宮益坂の中腹にぶち当たる経路は、以前よく通った。
将来、このあたりは3階の層でも水平移動できるような設計の余地を残していると聞くが、本当だろうか。
傘をさすのが億劫なので、できるだけ屋根のある場所を選び、通過していく。
青山学院大学からの学生の流れに逆行し、道に迷いつつも時間前に到着。
シアター・イメージフォーラム、初めて来た。
チケットを買うがまた時間がある。
館内が狭いので、雨が降る外へ。
青山通りから1本外側の道は、飲食店が並んでいる。
こっち側に縁がなかったのは、みじめな過去を象徴している。
そういえば、昨夜の夢は特にひどかった。
過剰な表現ではなく、ほぼ毎日悪夢を見ている。
普段から確かにおびえていることなのに、具体的な言葉としては表現できないために、それについて考察することができない事象どもが、夢の中では生々しく思い描かれ、脂汗が絞り出てくる。
目覚めたときは夢のことをはっきりと記憶しており、メモに残すこともできるのだが、後で読み返し記憶が定着することを恐れ、それはしないようにしている。
だから、夢の内容は消えていくものの、つかみどころない印象だけが残り去る。
でも、昨夜の夢は、まだ覚えている。
忘れられないくらいひどく、みっともない夢だった。
もうとりかえしがつかない、のではなく、最初から決定的に欠落しており、その事実をずっと抱えて暮らすことからは逃れられない。
十分わかっていることなのに、愚かだから忘れてしまう。
そのころに、必ず夢が突き付けてくる。
シアターに戻る。
光石研主演の映画「逃げきれた夢」。
冒頭から、光石さんのお父さんが出てくる。
新日鉄をやめて、喫茶店を開いたものの、「俺は話をしたくて店を始めたのに、客の話ばかり聞くことになってつまらん」ということで店を閉めたという父親だ。
風師公園の入口が北九州っぽい、とか、門司から黒崎へ帰るのか、とか、自分の感覚では黒崎のシロヤは新鮮、とか思う。
ほぼほぼ光石さんのアップが続き、工藤遥の成長に気付く。
この場所なら夕食は唐そばでもいいのだが、実は、月曜に行ったので、やめておく。
TVで飲食店を紹介するのに、唐そばや壁の穴、カプリチョーザを挙げる、変わらない光石さんを、最近は尊敬するようになった。
テレフォンショッキングでは、「タモリさんのうどん屋に行っていたのに」と言っていた。