直道
落合南長崎駅で下車。
「i Terrace落合南長崎」に立ち寄り、目白通りへと出る。
これまで「豊島区に住む」という発想が全くなかった。
案外落ち着いた住宅地であることを初めて知る。
細い路地を抜け、子供たちが集う公園を抜け、一方通行のバス通りを進む。
豊島区立トキワ荘ミュージアムを訪れる。
開館の知らせを聞いてから行く機会をうかがい、何とか2022年内に訪れることができた。
入館料は、500円。
9種類ある中からランダムに渡される缶バッジを受け取る。
2階へと続く階段は、わざときしむ音が出るように作られてある、と案内人から聞かされる。
単に古いアパートを再現しているだけなので、見どころは特にない、と言ってしまえばそれまでだ。
そんな風には片づけられないものを感じ取ろうとする。
映画や「まんが道」などで得た知識と合わせて総合的に鑑賞する必要がある。
1階は企画展が行われていて、今回は「藤子不二雄Ⓐのまんが道展」。
追悼契機の企画かはわからないが、この企画展があるから行った、ようなところがある。
「トキワ荘14号室の壁」が公開されていて、サインに見入ってしまった。
安孫子先生は、トキワ荘時代に多くの写真を撮影しており、それを基に「まんが道」の詳細な描画が可能になったという。
祖父に「ドラえもん」を買ってもらい、実家には「マンガ 日本の歴史」が一揃えあった。
また、「いいとも」を見続け、その番組MCは自身を「作品の一つ」と表現した。
そう考えると、僕はもうトキワ荘で育ったも同然、と言っていいだろう。
トキワ荘通り昭和レトロ館にも立ち寄る。
2022年11月に開館し、こちらは無料。
「味楽百貨店」という古くからの建物を改修したもので、こんなものが残っていること、このようなものがこんな街にあったことに驚く。
2階は、豊島区の過去の展示。
戦後、36万人いた人口の多くは、上京した若年層が占めていた。
それは今は28万人、消滅可能性都市は脱したようだが、高齢者率は高い。
土地の高度利用が必要に思える。
1階は、「学習まんが」の展示。
「まんが道」第1巻が読める状態で展示されており、立ち読み。
日本加除出版本社にある、トキワ荘跡地モニュメントを訪れる。
目白通りに出て、歩く。
そういえば、20世紀の終わりに、目白通りにある病院に救急搬送され、肺のごく一部を除去したのであった。
その病院を前を通ったものの、ほとんど何も覚えていない。
スーパーがあったことはかろうじて覚えているものの、退院後目白駅から何度か往復した街並みの記憶はない。
セットバックしている様子を見ると、建物はそれほど変わっていないのだろう。
行列のできている洋菓子店や、行列の出来ていない洋菓子店などの前を通る。
目白駅まで来たが、もう少し歩くことにする。
学習院の脇を下り、これも20世紀にデサントの目白椿ホールへ服のバーゲンに行ったことを思い出す。
切手の博物館で、ウクライナをテーマにした展示。
新目白通りを渡り、神田川を超え、高田馬場に到着。
この辺に親しむ人生もあったな、と思いをはせるが、到底考えられない。
西側に行って、「この辺に西友があったな」という記憶を疑い、いくつかのコーヒーショップをめぐり、かろうじて席が空いていた店で休憩。