曇天の続き

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2022-07-29 Fri.

玉藻

2022-07-29

前日。
ANAアプリの通知を受け取る。
オンラインでチェックインができるから、やってね、とのこと。
相変わらず航空機の搭乗の仕方が身についておらず、「チェックインってなんだっけ」というところから始める。
ニュースを見ると、事故があったようで、マリンライナーに大幅な遅れ。
もし日にちがずれていれば、僕も少し困った状態になっただろう。

当日。
5時30分、起床。
身の回りの物をショルダーバッグに詰める。
今夏にアウトレットで、定価の半額で買ったシャツは、「旅先の現地ガイドみたい」との評判で、今日着ていくのにうってつけだ。
また、この日のために買ったジーンズを着用。

高速バス。
案内板の情報によると、渋滞がいつもよりきつめ。
バスは、正規のルートとは異なる方へと進む。
これが初めての環状線。

飛行機出発の1時間前に到着する予定が、25分ほど遅れて第2ターミナル。
引っかかって伝家の宝刀を抜くようなことをもう2度としたくないので、着くや否や、保安検査場に向かう。
今になってようやく学ぶのだが、飛行機の出発時間の20分前に保安検査場を通過しなければならないわけだから、飛行機に乗る際は、出発時刻ではなく通過期限時刻を意識しておかなければならない。
「出発まで1時間もあるから多少の道路渋滞も余裕」なんていう勘違いから解放されるときがようやく訪れた。
検査場のシステムがまた変わっていて、自身の所作をアップデートする必要性に早くも嫌になる。

ずいぶんと大きな数字の搭乗口で、どうやらバスに乗るようだ。
セキュリティエリア内には、行先まで運んでくれる自動運転の車もあったが、それらに関心を寄せる余裕はもうない。
2年前の、廃墟のようなターミナルの風景とは違って、利用客は結構いる。
後で知ったのだが、自分の持っているコーポレートゴールドカードでは空港ラウンジが利用できなくなっていて、定刻通り着いていたら庶民的屈辱に悶絶するところであった。

機体はA320。
隣に年配の女性が座り、理由はわからないが西東京市のバス路線を手に握りしめ、サービスについてCAにいろいろと尋ねている。
後で僕にもイヤフォンの使い方を尋ねてきて、答えているうちに、CAが引き取ってくれた。

C滑走路で離陸、天候は晴れ。
窓外に川崎、横浜の街を見て、寺脇康文がナビゲートする音楽プログラムを拝聴。
還暦を迎えた、この世界に入る前はディスコで踊っていた、水谷豊にあこがれていた、などの話に、「刑事貴族」「悪魔のkiss」世代は感涙。
「夏ざかり ほの字組」「モンロー・ウォーク」「17歳」などを楽しむ。
飲み物はコンソメをいただく。
なお、紙媒体の「翼の王国」はなく、ご自身の端末か備え付けのタッチパネルでどうぞ。
ただ、パネルの反射によって後ろの人と目が合って、きまずい。

やがて着陸体制に入り、眼下に、小豆島、屋島が見えてきた。
少し緑が多くなってきたところで、高松空港に着陸。
降機する際、CAに「隣のお客様とお話ししていただいてありがとうございました」と声をかけられた。

これで、訪問した国内空港の数は17となった。
鹿児島、宮崎、熊本、天草、福岡、北九州、松山、高松、鳥取、関西、伊丹、羽田、成田、仙台、函館、釧路、女満別。
関西国際空港は2回訪れたものの、離着陸していない。
仙台空港も、鉄道で立ち寄っただけだ。
厳密にいうと、これに(旧)北九州空港が加わる。
方々に行っている割には数が少なく、空路の利用が少ないことがわかる。

空港内を見回ることもなく、バス乗り場へと向かう。
もしかしたら、うどんのつゆが出る蛇口でもあったのかもしれない。
空港は高台にあるようで、バス乗り場から高松市街が見渡せる。

バスは空港通りを進む。
驚くことでもないのでが、道路沿いにはうどん店が多い。
空港通り一宮でことでんに乗り換える手も考えたが、おとなしく市の中心部までバスで進む。

栗林公園の脇を抜け、市街地で下車。
数分歩き、うどん。
はも天、たこ天があったのを見逃し、ちくわ天、えび天などを、ざるうどんでいただく。
感想は、言うまでもない。

アーケードをほっつき歩く。
街は清潔で、人通りもある。
水不足さえ気にしなければ、高松に住む、というのもありかもしれない。
瓦町からことでん。
終点の高松築港で下車。
高松城址を見学。

駅の方へ歩くと、徳島、高知、松山の方向を示す、交差点の行先標識を見つける。
振り返ると、港。
タワーに上ると、レストランが休業中で無料開放されていた。
「四国一高い建物」との案内を受け、「そうですか、確かにいい景色ですね」と答える。
思っていたより、高松市街は山に囲まれているものだ。

駅でチケットを購入し、喫茶店で休憩。
サイフォンでいれたコーヒーをいただき、おだやかに。

高松駅から、マリンライナーのグリーン席。
坂出駅を発車した後、大掛かりなカーブを描いて、列車は瀬戸内海上空へと飛び込む。
瀬戸大橋通過は、22年ぶり3回目。
不思議なことに、どれも四国から本州への移動。
旅行計画時、瀬戸大橋を渡る路線バスを発見し、「これで櫃石島など降りてやろうか」と誤った道を進みそうになったが、時間もないし、この時期だし、そもそも何のためにそれをするのかわからないし、といろいろ気づき、まっとうな道を外さずに済んだ。

児島駅で下車。
四国新幹線のために空けているともいわれる広い駅前広場は特に何もなく、駅のコンビニで飲み物を買い、バスの発車を待つ。
暑い。

とこはいバスに乗車。
途中、天満屋ハピータウンや児島文化センターなど、バスターミナルっぽいところを立ち寄る。
道はやや上り、鷲羽山ハイランド前では、観光客を拾う。
公共交通機関を使ってここまで遊びに来る客もいるようだ。

下津井港で下車。
回船問屋を復元したという資料館を見学。
どうしようもない無知で嫌になるのだが、下津井港は北前船が立ち寄る港であり、往時は大変に栄えたそうである。
下津井電鉄があったのも、納得できる。
「とこはい」の意味も、ここで知る。
土産物店で干したこを求めようとするが、店員に「産地をよく見てね」とアドバイスをいただき、ぶつ切りのたこがパックになったつまみを購入。

下津井の港を散策し、瀬戸大橋下の公園にたどり着く。
当然ながら、瀬戸大橋が開通した時の記憶はあるのだが、実物を目にするとまあ大げさともいえるような立派なものを作ったものである。
関門橋や若戸大橋を見て育ったからの感想かもしれない。
あれば当然のようにも思えるが、ないのが自然であり、それゆえに四国との航路でも栄えていたのが下津井である。

最終バスに乗り、下津井電鉄の車両を車窓から観察し、児島駅南で下車。
次のマリンライナーの発車時刻まで2分しかなく、乗り場まで上がると列車のドアが閉まりかけていた、と思ったら開けてくれて、何とか乗り込む。
茶屋町まで息切れが止まらなかった。

茶屋町で下車。
近くの茶屋町小学校は創立150年だそうで、児童が描いた絵が駅構内に貼られていた。

先ほどのマリンライナーに乗れたおかげで、早い時刻のバスに間に合った。
少し遅れてやってきたバスに乗り、進む。
道が細く、対向車線はかなりひどい渋滞である。
それでも、岡山駅周りよりもかなり早く、倉敷美観地区に到着。
Googleマップの指示に従い、茶屋町で降りてここまで来たのだが、路線バスの現在位置を取り込んでいるのだろうか。

紡績工場の建物を改装した宿泊施設に、本日は投宿。
途中で我に返ったのだが、倉敷に泊まるのに、なぜ僕は「まず高松空港に降り立とう」と考えてしまうのだろう。
冒頭に言ったとおり、1日ずれていたら計画が崩れ、途方に暮れているところだった(高速バスに乗るか、フェリーに乗るかして渡っていただろう)。
「旅とは移動」の考えを、そろそろ改めたい。

チェックインしてからすぐ食事で、まあそれはそれはもう大満足の献立だった。
もちろん、はもも、たこも出たし、さざえもおいしかった。
中庭では、ビアガーデンが営業中で、すべての酔客に「プロースト!」。

敷地を抜け出し、夜の倉敷川河畔を散策してみたが、照明がなくて、雰囲気があるというか、怖いというか。
風呂に入って、冷たい水を飲んで、ベッドに横になりながら金曜ロードショーで「ジュラシックワールド」を見て、なんとも充実した1日だった。

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