曇天の続き

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2022-03-06 Sun.

葵青

2022-03-06

5時に目が覚める。
やることがないので、「立川志らくの演芸図鑑」でも見る。
ロケット団と坂本冬美が出演していた。

大浴場の営業開始時刻になり、入浴。
都会で早朝に大浴場で風呂を楽しむのが、何より一番楽しいことだ。
忘れないように、鏡文字で胸に彫り物を入れておきたい。

部屋に戻り、飲料を体に補給し、スマートTVでICEの曲を流す。
都会で早朝に大浴場で風呂を楽しんだ後、飲料を補給し、スマートTVでICEのパフォーマンスを鑑賞することこそ、何より一番楽しいことだ、忘れないようにしたい。
映像は「kozmic blue」のパフォーマンスを描く。
世の中ではいろいろあり、そのたびにこの歌を聞き、詞に心が震える。
昨日から「ヒステリックブルー」だの「バイバイブルー」だのあったけれど、これからは「好きな色は?」と尋ねられればと言えば、迷いなく「kozmic blue」と答えることにしよう。
たとえアクシデントがあっても、音楽を止めない。

それにしても、1990年代半ばのミュージシャンの映像は多彩である。
ライブ映像はもちろんかっこいいのだが、PV全盛の時代でもある。
そして、ミュージシャンはいろいろな番組に出演している。
「ひろっつぁん」こと森口博子と共演している映像があったが、あれは「ポップジャム」だろうか。
また、ICEの2人が番組のインタビューに応えているのだが、あの頃よくあった、インタビュアーがいかにもモデルから出てきた女性2人組で、今となってはこれが誰なのかさっぱりわからない。
誰だかわからない人に質問されて、ノリよく応じる、というのが、1990年代の礼儀だったように思う。

時がたつのは早く、8時になってしまった。
チェックアウトし、静岡駅に向かう。
リトルマーメイドでアンパンとドーナッツを購入。
画像認識で商品を特定するタイプのレジで、思わず目を見開く。

東海道本線上り列車に乗る。
改めて明るい街並みを見るが、程よく都会である。
清水駅に到着。
「三保の松原」行きの路線バスとのつながりが良く、すぐにバスに乗る。
清水の街も、程よく道が混んでいて、清潔で美しい。

バスは20分ほど走り、途中で少し眠って、終点三保の松原に到着。
バス停から少し歩いたところにある施設「みほしるべ」で、展示物を見る。
地元の方々の並々ならぬ努力を知り、それがこれからも続いていくものであることを知る。
屋上に上がらせていただき、富士の嶺を眺める。
寒くもなく、これ以上ない晴天で、スカイブルーである。

砂浜を散策。
設置された防災スピーカーから訓練放送が流れ、自分のスマートフォンも訓練の緊急通報を受信し、けたたましく鳴る。
「これが静岡の日常だ」というのが、唯一の不安。
古よりたたえられた景色は、もう神々しいの一言である。
何かが起きそうな予感が止められない。

一通り見て回って、「神の道」などという「なんと恐れ多い名づけか」と思わんばかりの歩道を抜け、御穂神社のほうへ向かう。
宗教上の理由から、僕は未来永劫一切のさい銭をやめたので、神社では拝礼にとどめる。

バス停を目指して歩く。
まあ、いろいろあったけど、何とかここまでたどり着いたものだ。
気にし始めたらきりがないが、憂いはないし、後悔はいくつかあるけどあきらめをつけたつもりだし、蒸し返す連中には呪いをかけたし、そんなことよりまた取り組めばいい。
謝るべきことや取り返しのつかないことはたくさんあり、それらを埋め合わせることはもう決してできず、常に試されていることを心にとどめる努力を続けなければならない。
これから存在することが許されるものか、そう問われていることを常に忘れず、謙虚に地道に暮らしていき、なすべき仕事をしていこう。

と、本当に内省するのも、旅の醍醐味。
バス停までたどり着き、ジャストタイムでジャストライン。
このバス会社は、運転といい車内アナウンスといい、本当に好感が持てる。
そして僕は、エスパルスドリームプラザに立ち寄らなかった後悔を生涯抱えていくことになるのだろう。

清水駅から、東海道本線下り列車で静岡へ。
駅に着くと、まず昨夜食べられなかった浜松餃子の店で食事。
チェーン店ということで、少し日和って少なめの注文にしてしまったが、これがとてもおいしい。
また後悔を抱えることになった。

駅のマクドナルドで、今後の行く末について思案。
駅南口の静岡ホビースクエアを見学。
その後、駅北口に移り、繁華街を目指す。
昨夜は暗くてよくわからなかったが、駅周辺は細かい店が多くあるようだし、若者の人通りも多い。

市役所の脇を抜けると、後ろから若い男性たちの、勢いのある会話が聞こえてくる。
思わず道の端に寄り、進路を譲ると、警察官の集団であった。
何を話していたかは、ここでは書けない。
駿府城公園では、日曜にもかかわらず、気高い集団がこれから始める何らかのデモの準備をしていた。
先ほどの警官たちはこれらの警備にあたるようだ。
どちらも持ちつもたれつ、ご苦労様です。

遠くから見ると警察本部の建物の上層部に大きな窓があり、そこから景色を楽しめそうだ。
入り口まで行ってみたが、普段は開放はしていたものの、密を避けるためしばらく閉鎖中。
お堀端を通って、また繁華街に戻る。
駅前の葵タワーには、静岡市美術館が入っている、これは好感。
平等院鳳凰堂の展覧会が催されているようだが、雰囲気だけ味わうにとどめる。
ミュージアムショップで、吉田初三郎の鳥観図集を見つけた。
最近出版されたのを知り、ウィッシュリストに登録しておく。

そして、高架下の寿司居酒屋に入店。
昼時は過ぎていて、店内はすいている。
モノグラムのたくさん入った柄の着心地の良い服装の諸先輩方が、金のネックレス着用でご機嫌ドリンクを飲んでいらっしゃる。
店内は、ヒップホップとかレゲエとか、店にうってつけの音楽が流れる。
そういうわけで期待していなかったのだが…、やっぱりうまい。

泣きながら、Suicaに現金チャージ。
意地汚くお土産を買いこみ、改札を通過し、店で飲料と「シラスの缶詰」を購入。
さようなら、静岡。

帰路は、東海道新幹線こだまのグリーン車。
これが人生初の、新幹線グリーン車体験である。
名古屋にでも行く機会があればグリーン車に乗ろうと考え、もう20年くらい経過したが、静岡で手を打つことになるとは情けない。
ひかりではなくこだまにしたのは、少しでも長い時間を空いている車両で過ごしたかったからで、当然ほとんど空席である。
購入した飲料は缶の上面全面が開放できる生ジョッキ缶で、車内で飲むには不適切であった。
高いところから岳南電車に別れを告げ、ヘッドレストに頭を預ける。
今回も、トラベルミステリーさながらの行程であった。

驚いたのは、熱海からでもグリーン車に乗ってくる人がいることだ。
僕なら、熱海だと在来線グリーン車で手を打つのも贅沢だと思っているくらいなのに。

そしてもっと驚いたのは、「テレビ寺子屋」が今もまだ放送され続けていることだ。
何のしがらみで誰が見…、教師生活のゴールはぜひとも「テレビ寺子屋」の講師経験で迎えたいものだ。
テレビ静岡の矜持というか、誰に伺いを立てているのか、信念と執念を感じた。
これからは、静岡出身者に生年を聞かれたら、「「テレビ寺子屋」と同い年です」と答えることにしよう。
そういえば、静岡放送のことをすっかり忘れていた。

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