曇天の続き

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2020-11-09 Mon.

繫縛

2020-11-09

行政書士試験を受けてきた。

受験のきっかけが何だったのか判然としない。
社会人風を装っているのに、法律系の知識が全くない自分を恥じていることは確かだ。
独学でも手の届きそうな法律系の資格試験はないかと探し、行政書士試験をきっかけに法律の勉強でもできれば、という軽い気持ちで申し込んだ。

一般知識と憲法は、持っている知識を磨き上げれば、まあ何とか戦えるかも、という感じ。
しかし、民法、商法、そして行政法は全く歯が立たない。
そもそも、法律のリテラシーが身に付いていないことを思い知る。
まったく、学校で何を聞いていたのだろうか。

法律に触れると、ああ、自分は公務員にならなくてよかった、公務員は全く向いていない、ということをつくづく思い知らされる。
なぜなら、決まり事とか、手続きとかを、僕はとても面倒に感じてしまうからだ。
体裁を整えるよりも果実を求めることを優先してしまい、いわゆる「大人のやり取り」というのが一切受け入れられない。
振り返れば、就職活動の際に公務員試験を受けたこともあったが、周りの雰囲気に乗せられて公務員になっていたら、大変なことになっていた。
僕は、自分を守ることができないにもかかわらず、決めごとから逃れたがる、軟弱な無頼、ひ弱な無法者である。
そして、公務員の仕事はつくづく面倒なものなのだ。

一方で、ソフトウェアのフレームワークとかネットワークのプロトコルのような決まり事には興味があって、そういうのには忠実に従おうとするところがある。
仕事やプログラムをデザインする場合は、常に「どうやったらおさまりがよくなるか」を考えている。
似たようなコンセプトのように思えるが、その差異に対する見解は得ていない。

いずれにせよ、もっと勉強が必要であることを痛感する。
法律に触れることで得られた知見が、法律とは関係ない「自分の仕事」の在り方に影響を与えるものかもしれない。
また、法律の考え方は興味が持てそうなので、ちゃんとした学習をしたい。

まあ、その程度で、試験を受けてきた。
13時開始の試験なのだが、当日は朝から家を出て、都心のコーヒーショップでテキストと問題集に向き合う。
調子が出ず、最近購入した山際淳司の「ウィニング・ボールを君に」に手を伸ばしてしまう。

時間も迫ったので、試験会場に移動する。
駅で知った情報だと、会場に向かうために利用しようとした交通機関が、運転を見合わせている。
頭の中で経路を再探索して、気乗りしないルートで向かうことにする。

途中駅で降り、ビルの中にある飲食店でグリーンカレーを食べる。
このビルに来るのは、14年ぶりくらいだろうか。

食事を終えて、交通機関を使い、試験会場の最寄り駅に到着。
一度しか言わないが、東京BRTでも、つくばエクスプレス延伸でも、なんでもいいから早くアクセスが便利になってほしい。
20年前からずっと不便だし、あと30年経っても、問題が解決しているように思えない。

すでに受験者の行列ができていて、これがずっと先の試験会場の入り口までつながっている。
もううんざりする。

会場は見本市が開催される…、例のあそこであり、部屋というか会場は2か所。
1会場の受験者は2,500人ほどいるようだ。
この感じの受験会場は、初めての経験だと思う。
大企業の新卒採用の筆記試験とかだとこんな感じで行われる、と聞いたことがあったが、縁がなかった。

試験時間は3時間。
試験中に便意が来ることはないのだろうか、そういえばさっきグリーンカレーを食べて、腹の調子が活発になっているのだが…、と早くも受験者としての失態を犯していることに気づく。
情けない。

試験開始。
一般知識から答え、特に引っかかることなく済ませる。
そして、法令問題。
択一式なのだが、読んでいて頭がくらくらする。
記述式もあるが、それっぽいことすら書ける気がせず、「生活笑百科」のゲスト相談員のような珍回答を記載。
弁護士の野間先生に「どないなってますかー」とおうかがいしたい。

それでも、2時間30分くらいで全問回答する。
別に我慢する必要もないのだが、せめて爪痕を残したく、便意と格闘する。

試験時間が終了。
解答用紙が回収され、チェックが終わったのは、自分のブロックが最も早かった。
悠々とトイレに向かう。

約5,000人の受験者が交通機関に殺到することを考えると、気が滅入る。
全員があのこじんまりした交通機関に乗るわけではないだろうが、群衆の中に滞在したくないので、1駅歩いてみることにする。
そういえば、radikoプレミアムで聞くようになった「TOKI CHIC RADIO」で、有明ガーデンにできたパーラーで柿のパフェだかを食べた、と土岐麻子が言っていたのを思い出す。
あの番組、東京では放送されていないのに、東京の情報を多く話す、いわば「シティ・ポップ・プログラム」である。
それにしても、有明まで行って何かをするような気力が登場するシーンは、みじめな僕の生涯には結局1度もなかった。

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