虚額
それにしても、日本銀行はいったいどこから金を持ち出してETFを買っているのだろう。
以前と同じことをまたつぶやきたくなる。
2020年3月末時点の日銀ETF残高は約29.4兆円である。
日銀がETFをどうやって買っているのか、よく知らない。
貧弱な想像だと、市中銀行が車で現金を運び込んで、当座預金口座の通帳に預け入れが記帳され、運び込まれた現金を日銀が証券会社に持ち込んで、ETFを買っているのだろう。
当座預金の一部には金利が付くが、利率は一部マイナスである。
そして、現在日銀は、保有しているETFを貸し付けている。
これは、多額のETFを日銀が保有しているとETFの流動性が下がるため、それを回避するためである、とされている。
なお、間違っていたら、すみません。
日銀が持つくらいなら、いっそ市中銀行がETFを持てばいいのではないか、と思う。
いやいや、市中銀行は株式を持つのではなく、借入需要に対して融資を買って出ればよい。
むしろ、市中銀行に口座を持っている預金者が、現金を銀行に預けなどせず、ETFを直接買えばいい。
思考停止でノーリスクを選んだ結果、日銀に金利も貸株料も配当も持っていかれているのを見過ごしておいてもいいのか…。
もし、個人投資家がETFを購入したとしよう。
その購入代金は、ETFを売却した側にわたる。
すなわち、個人投資家の口座残高を減らし、売却した側の口座残高を増やすことになる。
これでは、市中銀行全体の口座残高が増減したに過ぎない。
現金は市中銀行の日銀口座を介して日銀に集まり、日銀はその金でETFを買う。
結局何がどうなっても一緒のように思える。
おそらく、僕は何かを見逃しているのだろう。
さて、「日本国債は家庭内の借金に過ぎない」といったニュアンスのことを麻生太郎氏は言った。
その一方で、「特別定額給付金によって貯金や預金が増えた」とも言った。
預金残高のどの部分をさしてそう言っているのだろうか、と思う。
日銀が発表した貸出・預金動向では、確かに銀行の預金残高は増加している。
それはそれとして、僕も10万円の給付を受けたが、銀行口座から現金を引き出すことはなかった。
キャッシュレス決済によって、別の銀行口座に残高が移った、とは言える。
全体的に見ても、特別定額給付金の分だけ市中銀行の預金残高が増えただろうが、その増えた分を消費しても銀行口座の中だけで残高が動いているだけで、全体の残高は変わらない。
残高が減るとしたら、それは例えば、多額の税金徴収で、日銀の市中銀行預金口座から政府預金口座に残高が移る場合だ。
給付金の支給は、日銀の政府預金口座から市中銀行の日銀預金口座に残高が移ることである。
もはや、キャッシュレス決済社会なので、市中の決済で銀行口座の総残高が減ることはない。
今時、自宅に現金を準備しているのは、里美ゆりあぐらいなものだろう。
だから貯金や預金が増えるのは普通のことで、効果は貨幣の流通量で見る必要があるのだと思う。
預金残高も増えている一方で、貸出動向も増えているから、きっとうまくいっているのだろう。
もう一度言うけど、僕はきっと、資産確保に躍起になりすぎて、何かを見逃しているのだろう。
政府は国債を発行し、得た金は公共事業や給付によって日銀から市中銀行にわたる。
国債は、まわりまわって、日銀の資産に算入される。
国債で工面した資金で公共事業を行えば、政府の負債が増え、政府の資産が増え、日銀の国債残高が増え、市中銀行の日銀口座残高が増える。
給付では政府の資産が増えず、純資産が減る。
その場合、国民への給付の成果が税収として戻って来ることを期待することになる。
それで正しいのかもしれない。
でも、どう説明されても、僕は自分1人分のバランスシートしか持っていないのだ。
1人分のバランスシートの左側にある金融資産を厚くしたい。
それは右側で調達するのではなく、簿外で持っている資本を活用して調達した方がいいのだろう。
だから、その調達能力を高めていきたい。
そうして厚くした金融資産で、ささやかな実入りを確保する。
僕が最終的に望むのは、国内の誰かが外貨を稼いでくれることだ。
僕はその外貨で国外の金融資産を購入し、外貨による配当を受け取ることができる。
こんな憂いも、ハロウィンジャンボ宝くじが当たれば消え失せてしまうはずだ。
もう宝くじまでがハロウィンを利用するようになったら、普及も行くところまで行った、末端まで到達し新たな局面を迎えた、という感じだ。