曇天の続き

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2020-07-10 Fri.

来草

2020-07-10

帰省がてら、旅行に出た。

緊急事態宣言解除の後、まだ「Go to 何とか」みたいなのはやっていない段階である。
事態がより深刻になれば、直前であってもキャンセルする選択肢を行使してもいい覚悟はあった。
誹謗中傷は受けたくないけれど、黙ることを強制するわけにもいかない。
事情があるのです、本当に。

自宅から近いバス停から出ている空港への高速バスは、運休中である。
なので、鉄道で少し遠い駅まで行って、そこからバスで空港に向かう。

空港は、どうかしていると思うくらいガラガラである。
実際、どうかしているのである。
売っている空弁の数も少なくて、選ぶのに苦慮した。

今回は、事情があってJAL。
JALなのに、エアバス350。
「翼の王国」ではない機内誌を読み、オンデマンドで「プロゴルファー猿」を見て、「雷電対拝み打ち」を堪能。
さすが、実家が寺である、安孫子先生。
無線LANも使えるが、制約がかかっていて、TVerは見られない。

この日は天候が悪く、福岡空港上空で、くるくる回っている。
3回目の挑戦で、雷雲の中に突っ込み、無事着陸。
停機後、機内で自分の名前をアナウンスされ、降りたらグランドスタッフのところに来てねとのこと。
地元で、珍しい姓を喧伝されるのは、誰に聞かれているかもしれないので、いささか不安になり、首をすくめる。
呼ばれたのは、乗り継ぎ便についての説明があったため。
天候調査中で、飛ぶかどうかまだわからないらしい。
国内線を乗り継ぐのはこれが初めてなので、グランドスタッフに不安を伝え、将来についてじっくりお話しする。

福岡空港は、7年ぶり。
前回は、あの「小倉を出して」飛行機に滑り込みで乗った時である。

モヒカンラーメンで、久留米ラーメンをいただく。
BGMで、聖子ちゃんが流れ、藤井フミヤが流れる。
当然おいしい。

因幡うどんで、うどんをいただく。
当然おいしいが、あまりの「コシのなさ」にいささかの不安すら覚える。

乗り継ぎ先は、天草エアライン。
カウンターで説明を受けるが、飛ばない可能性があるという。
申し訳ないと何度も言われるが、こちらとしては小倉の実家に泊まればいいだけなので、別に慌てることはない。
しかしながら、飛んだとしても行き先を天草空港から熊本空港に変更する可能性があり、その場合はバスで天草空港までお送りします、と優しく言われ、あわあわする。
飛んでないけれど、とんでもない。
もしそうなったら、バスで何時間かかるのか。
その場合は、熊本駅で降ろしてもらい、新幹線で小倉に戻りたい。

結局、飛行機は35分遅れでの出発となった。
バス乗り場には、対馬やら福江やらに向かう便の案内が掲示されていて、福岡空港が離島のハブ空港でもあることを知る。
西鉄バスで空港内を移動すると、天草エアライン唯一の航空機である「みぞか号」が駐機されている。
バスの中から見ていると、羽田で預けた自分の荷物が機にそのまま積まれていた。

プロペラ機に乗るのは、ネパールでカトマンズとポカラを往復して以来、18年ぶりである。
離陸し、雲の中に突っ込み、揺れに揺れる。
リンドバーグは偉い、と心底思う。
今回の旅のテーマソングは、「BELIEVE IN LOVE」と決まった。
乗客は、10名程度。
ドキュメントファイルにまとめられている手作りの機内誌によると、みぞか号は、大阪までの往復を含め、1日10フライトをしているそうだ。
整備士の方に感謝をささげ、たくさん写真を撮る。

見事、天草空港に到着。
生還したことに喝采し、ハイタッチでもしたいところだが、誰も騒いでいないので静かにする。
時間が予定より遅くなったにもかかわらず、レンタカー会社の方が迎えに来ていただいており、感謝。
車窓から見る天草の街は、思ったよりも栄えていて、無知を恥じる。
レンタカーを借りて、本日の宿泊先に到着。
こんな時期に宿泊させていただけることにも、感謝。

夕食は、容易な共感を得られないだろうが、ついつい「まさに、家族ゲームみたいだな」と言いたくなるような席の配置。
醤油は甘く、料理はとにかくうまい。
温泉も堪能。
部屋に戻り、スマートフォンで検索していると、以前ここに海を渡るロープウェイがあったそうだ。
天草のバブルに思いをはせ、九州産交バスの夢を見つつ、まどろむ。

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