曇天の続き

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2018-11-11 Sun.

惨敗

2018-11-11

先日の英検受験には、まだ続きがある。

準2級を取得した。
しかし、二次試験の面接では、満足のいくパフォーマンスを示せなかった。
準2級のまま、というのも居心地が悪い。
もう少し上の級で面接の経験を積もう、と考えた。

過去に出題された問題を読んでみる。
2級は高校卒業程度で、これはクリアできそうである。
準1級の方も見てみると、大学中級レベルとあり、手ごたえのありそうな問題が並んでいる。
1級は、自分の実力を考えると分不相応であり、手を出すことは控えた方がよさそうだ。

そういうわけで、頑張れば手の届きそうな準1級を受験することにした。

過去3回分の過去問題集を購入した。
リスニングCDがついてきて、リーズナブルである。
まずは単語穴埋めからやってみる…、難しい。
文法知識で対応できる問題は少なく、同じ品詞の語群から、適切な単語を選択する必要がある。
単語の習得が必要とわかり、2級と準1級の単語集を購入する。
単語集にはいい思い出がなく、できるだけ手を出したくなかったのだが、効率的な語彙獲得のためには割り切るほかない。
単語の発音を確認した後は、例文を読み、例文の中で意味を覚える。
これだと、リーディングの練習にもなる。
2級用の単語集で意味を知らない単語は2割もなかったので、まずはそれを3周くらい読む。
準1級の単語集は、一次試験前1週間で集中してやっつける。

長文読解は、普段から続けているニュースサイトの閲覧量を増やすとともに、過去問を何回か読んだ。
リスニングはCDを聴く程度にとどめ、ライティングは解答を丸覚えした。

一次試験当日。
試験会場は、公立中学校の教室。
体育館では、周辺の中学校のバスケットボール部か、バレーボール部か、綱のぼり部だかが集まって、練習試合か何かをしていて、騒がしい。
日曜の午前中から、本当にご苦労なことである。

校舎4階の教室が、試験会場。
入室すると、「若さ」に満ち溢れた独特の空気が漂い、息苦しい。
前回は、遠慮して教室の隅に着席したが、今回は自信がないので、リスニングの音声が聞きやすい、真ん中あたりの席を選ぶ。

教室内は、掲示物だらけ。
学校の目標、学年の目標、学期の学年の目標、クラスの目標、班の目標、今週の目標、今日の目標が掲げてある。
授業の反省が掲示板に記入され、校歌や学校の伝統についての解説も貼りだされてある。
僕なら、およそ授業に集中できない環境だ。

前回の準2級と異なり、受験者の年齢層が高い。
僕と同年代か、僕より年上の人で教室が占められている。
さすが準1級、レベルが上がると若い連中は受けないのか、とこの時は思ったのだが、帰りがけに他の準1級の教室をのぞくと、若い人だらけだった。
おそらく、年配者で固められたのだろう。

前回と同様、僕の半分程度の年齢と思われる試験監督が担当。
前回に比べるとしっかりした感じの人で、説明も分かりやすかった。
一方で、受験者からの注文が多い。
冷房が効かないだ、冷房が効きすぎだ、音声が聞き取りづらいだ、トイレに行ってもいいかだ、もう記入してもいいのかだ、まだ答案を回収しないのかだ、と、説明の最中にいろいろと口をはさんでくる。
試験監督の指示に従うのは受験心得第1条だと僕は考えており、こんな大人になりたくないものだと強く思う。

試験開始。
最初に英作文のテーマを読み、頭の片隅に記憶する。
単語穴埋めは、単語集の効果で、まあまあできた。
長文読解は、理解に骨の折れる文章ではあったものの、高速で読み、内容を何とか把握して回答できた。
英作文は、当たり障りのないことを書いたが、書き終わってみて、語数が足りなさそうだったので、最後にくだらないことを付け加えた。
時間は20分くらい余ったが、疲れていて、見直しをする気力がなかった。

リスニング。
これが全然わからない。
集中力が切れてしまい、内容が頭に入ってこない。
こんなことになるから、普段から英語音声に接しておき、少しでも負荷を低くしておくべきだったのだ。
日ごろのリスニング量が全く足りていないことを思い知り、激しく後悔する。
「真夜中のシンデレラ」が始まってから、それで満足してしまい、「ボキャブライダー」を聴くのを辞めたのが、まずかったのだろう。

試験終了。
失意のうちに帰路に就き、事前にチェックしておいた家系ラーメンを食す。

一次試験の結果は、合格。
英作文の得点がかなり高く、リーディングは合格者の平均程度、リスニングは受験者の平均程度。
合格の要因は、加齢のせいで英作文が格調高い文章になったからだと思う。
リーディングが思ったより間違っていたのがショックだったし、相変わらずできの悪いリスニングには本当に参った。
でもこれで、一次試験はしばらく免除される。
中学校の教室は、行くことを思うだけで憂鬱になっていたので、通過したことにほっとした。

二次試験の準備に移る。
二次試験対策本を購入し、読み込む。
特に1週間前は内容を暗記することに努めた。

試験が迫ってきて、ものすごく憂鬱な気持ちになる。
筆記試験はいくら失敗しても気にならないが、面接は自分の失態が目の前の人にさらされてしまう。
それに耐えられない。

あるサイトで、「面接は38点満点で合格点は22点、でも全8項目を1から5点でつけるので、最低でも8点は入る、行くだけで8点獲得できて、残り14点取ればいい、と思えば気は楽。合格率は80%」とあった。
このアドバイスは、大きな励みになった。

試験前日。
普段は見ないのだが、草刈正雄が出演しているということで「サワコの朝」を視聴。
その流れで、小堺一機と丸山隆平と小島瑠璃子が出演する番組を見てしまう。
「この2人は共演してよかったのだろうか」と、入り乱れる芸能界に対する不安はさておき。
番組の特集で、英語で観光ガイドをする岡山県の小学生が取り上げられていた。
だから、僕は母国語でもこんなことができないのに、試験前にこれを見てしまうと、憂鬱度が増すではないか…、と自分の能力の低さを棚上げする、自分勝手な思いに占められる。

二次試験当日。
10時開始の試験に備えて6時半に家を出て、カフェで最終対策。
頭の中で考えを英語で表現する練習に終始する。

Bonnie Pinkの「Tonight, the Night」を、すがるように聞く。
以前、ものすごく憂鬱なプレゼンテーションをすることになった際、偶然聞いた「Tonight, the Night」で救われ、そのプレゼンテーションを乗り切ったことがある。
それ以来、苦しいときは「Tonight, the Night」をかけるようにしている。
英語を得意とするBonnie Pinkの曲は、このシチュエーションにはうってつけと言えよう。
Stop being a goody two shoes...

試験会場は、準2級の二次試験と同じ、山2つ向こうキャンパス。
前回は、駅から徒歩20分の道を歩いている人はおらず、車での送迎が多かったようだが、今回は歩いて会場に向かう人を数人見かけた。

受付を済ませる。
電源を切ったスマートフォンを袋に入れ、首からぶら下げる方式にも、少し慣れた。

受験者待機室に入室。
僕はB日程で、B日程の受験者は20歳以上であるため、室内の受験者は中年が多い。
待機時間にも二次試験対策本を読みこみ、内容の暗記に努める。
自由問答の準備もする。
「私はネパールに行ったことがあります。カトマンズに行きました。すばらしい自然があり、大好きです」という全くの嘘を言う練習をする。

40分ほど待って、試験室に呼ばれる。
試験室の前で待っているときが、とても憂鬱だった。

自分の英語の実力は、全受験者の中で最下位である。
だからこそ、全力を出さなければ、合格できない。
ベストを尽くせ、ベストを尽くせ…。

こんなに緊張する面接は、5年前にあるプロジェクトに参入するときに受けた事前面接以来だ。
自信がない人が挑戦する、ということがどんなに苦しいものなのか、久しぶりに思い知る。
今後、若い人への励まし方を工夫しよう。

突然、華原朋美のことを思い出す。
そういえば、「電波少年」でアメリカ進出企画をやっていた時、華原朋美は現地の人と話していた。
「ヤーッ」「ヤーッ」と相槌を打つ姿を、僕は悲壮感を持って眺めていた。
今となっては、朋ちゃんのチャレンジに脱帽である。
試験が終わったら、華原朋美の波乱の芸能人生をたどってみよう。

前の人の面接が長いように思う。
これくらい時間がかかるものなのだろうか、自分はこんな長い時間を英語だけでやり過ごせるのだろうか。

前の人が出てきて、入室するよう指示される。
ノックして、入室すると、見たことのある試験官。
前回の準2級でお世話になった面接官だった。
前回はありがとうございました、でも、せっかく合格させていただいたのに、また失態をさらすことになりそうです。

試験は…、ほとんどできなかった。
自由問答は、ほぼなかった。
4コマ漫画の描写は、意味を理解するまで時間を要してしまい、考えがまとまらず、3コマ目で時間切れになった。
その後に続く4問の質問は、最後の質問が全く理解できなくて、聞き返した。
それでも理解できなかったので、かなり適当な回答で終えてしまった。
カードを渡すときに、首から下げていたスマートフォンの袋を机にぶつけて、大きな音を出してしまう。
前回「機械的な応答」と評してしまった試験官は、今回とてもやさしい感じを出していて、なおさら申し訳なく思った。

試験終了。
また、失意のうちに駅まで20分の道を歩く。
山2つ超えたのだが、そんな悪態をつくことも忘れ、英語を話せない自分をとても情けなく思う。
母国語でも、会話がうまく続かずに、落ち込むことがある。
今回の英語は、言いたいことがあったのに、それを英語で表現することができず、かといって、知っている表現でその場をやり過ごすこともできず、まごついてしまった。
英語学習を始めてから30年が経過しても、まだこの程度なのか。

どうしたら、英会話ができるようになるのだろう。
脳内回路を徹底的にいじらないと、話せるようにならない気がする。
いやいや、目指す会話のレベルが高すぎるのだ。
子どもの気持ちに戻って、知っているだけの表現を駆使して話す練習を繰り返せばいいのだろうか。
とにかく、恥を捨てて、いや恥をかくことに尻込みせず、レベルを下げることが重要だ。
言いたいことが思いつかなくても、その場をやり過ごすために会話を続ける必要がある。
それが、社会生活なのだ。

帰りに、中華料理屋で肉野菜炒めを食す。
今回は不合格に違いないが、次もまた受けよう。
これからは、多読を続けるのに加えて、リスニングの機会も増やして、英語で表現する練習をしよう。

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