曇天の続き

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2017-07-01 Sat.

越山若水

2017-07-01

2017年4月、旅行で福井に行った。

出発前、各方面からの理解を得るために福井探訪の予定を周囲に告げると、「どうして福井に行くのか」「福井に何があるのか」という質問ばかりをされた。
それに対する僕の答えは、「そこに福井があるから」である。

沖縄を除く46都道府県で未踏だったのが、福井県であった。
1999年の稚内に始まる一連の旅行で、2014年に富山、石川に行った時点で、福井だけが取り残された形となった。
よって、3年ぶりとなる今回の泊まり旅の主目的は「福井に行くこと」であった。

逆に「福井に何があるか教えてほしい」とこちらから尋ねたのだが、ほぼ誰も有用な答えを返してくれなかった。
「特に何も知らない」「行ったことない」「どこにあるのかわからない」「福井は何県にあるのか」「あれ、琵琶湖のあるところでしたっけ」「金沢の上に突き出したところですよね」という感じ。
通用する答えといえば、「東尋坊」「恐竜」「永平寺」「眼鏡」「原発」「サバ」というところだった。
僕も同じだが、大半の人には福井に行く理由がないのだ。

実際、今回の旅行でも、福井が主目的であったが、実際は京都から大津を経由してから福井に入り、ちょっと東尋坊を見て、天橋立へ行き、余部橋梁を見学して鳥取に向かう、という感じで、旅行の中での福井のウェイトはさほど大きくなかった。

今年は桜が散るのが遅かったために、図らずとも春の京都を思う存分堪能することができた。
また、見ることが長年の念願であった、伊根の舟屋の景観を楽しんだ。
それで、福井はどうだったかというと、とてもよかったと思う。

福井市街は路面電車が走っており、落ち着いていて美しかった。
川本真琴の出身校であることで名前を知っていた仁愛女子短期大学も、この福井にあった。
三国港へ向かうえちぜん鉄道の風景は、これもまたのどかなものでよかった。
東尋坊に行くのなら、廃線の危機を免れたえちぜん鉄道がおすすめである。
天候に恵まれた東尋坊の柱状節理に迫力を感じ、三国市街には、海運盛んであった日本海沿岸の富の記憶を残す建物がいくつかあることを知った。
北陸本線のループを通ったのは夜で、その風景を楽しめなかったが、実に大雑把な命名だと感じていた北陸トンネルの長大さ、および雄大なカーブを描いて転がる列車から見えた敦賀の街の風景は、見ごたえがあった。
残念ながら、敦賀の街には立ち寄れなかったが、その代わりに立ち寄った小浜の街は三国と同様に、過去の栄華を感じさせる街並みがあった。
小浜線から海の方を望むと、原子力発電所の存在を感じさせる道路案内標識や、パチンコ店があった。
サバを食べ、カニを食べ、イカを食べ、へしこを土産にした。
行けばわかるが、福井駅前には恐竜がいた。

福井を含めた北陸3県は、美と気品があふれ、また訪れたいと感じさせる地域である。

僕は、父の仕事を見ていて、「就職すれば全国を出張するものだ」とぐひぐひ妄想していたが、職に就いても出張などほとんどないどころか、PCの前を離れることすらない毎日である。
そんな日々なのでずいぶんと遅れてしまったが、ようやく沖縄以外の本土にある都道府県に足を踏み入れた。
「行ったことのないところに行く」というのが、僕の国内旅行のテーマであったから、これで第1段階の目標を達成したといえる。
さて、今後どうしようか、と思う。

たぶん、よほどのことがない限り、自分から沖縄に行くことはないと思う。
率直に言うと、沖縄への興味がまだ高まっていない。
また、国内と言っても離島を対象にするのは気が進まない。
離島を対象にしてしまうと、キリがない。

じゃあ、もう行きたいところはないのか、というと、鳥取空港を発った飛行機内から列島を見下ろしつつ、3つほどのルートの構想がむくむくと沸き上がってきた。
東北はまだ主要都市を回り切っていないし、いつも通り過ぎるだけの静岡も行ってみたい。
中国山地もまだ片づけていないし、瀬戸内海は何度でも行きたい。
また、今一番乗りたい列車が「四国まんなか千年ものがたり」で、箸蔵から佃へ吉野川を渡るカーブを楽しみたい。

時間も金もない僕は、数年後の旅行のために、今から計画を構想する。
旅行前の調査からすでに旅は始まっていることを、僕は十分心得ている。

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