曇天の続き

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2017-06-23 Fri.

遊星

2017-06-23

映画「美しい星」を視聴。

以前から、三島由紀夫の原作をウィッシュリストに入れていた。
dマガジンの「TokyoWalker」で橋本愛のインタビューを読み、「美しい星」が映画化されることを知った。

事前に「美しい星」を文庫本で読了。
振り返れば、小学生のころ「少年少女文学全集」で「潮騒」を挫折して以来、これが初めての三島由紀夫である。
この歳で今更口にするのもはばかられる極めて月並みな感想だが、美意識の高さを感じられる文章である。

さて、読んでみて何よりいいと感じたのは、橋本愛のキャスティングである。
また、時代が時代なら筒井康隆になっていたかもしれない主人公が、リリー・フランキーであることもよい。
亀梨和也は各方面への抑えとして受け入れるとして、中嶋朋子もほどよいキャスティングである。
久しぶりに期待の高まる映画である。

それで、2017年5月26日公開からこれまで日が経ってしまったのは、時間が作れなかったからである。
休暇を確保していたが、この時期の風物詩ともいえる「咳が止まらない風邪」のために、寝込んでしまった。
それで、映画館での上映が1日1回になってしまい、上映している映画館も少なくなった。
公開から4週間で、もうこんなものか、と改めて映画をとりまく状況を知る。

なので、予定の都合上、こんなことでもなかったら訪れることもない、さいたま新都心のコクーンシティに行く。
映画を見るために埼玉まで行くとは、少々アホらしい。
往復1,000円近くかかるのだから、やっぱり遠い。

コクーンシティは、ちょうどいいサイズ。
プレハブ感が強いが、ある程度そろっているし、近所に住んでいたら利用するだろう。
東京から行くようなところでは、決してない。

ライフで缶ビールを買い、近くの公園へ向かう。
親子で遊んでいるそばで気が引けるが、そこは厚顔無恥を押し通し、ベンチでビールを開ける。
NewDaysで購入した「秋田しょっつるあたりめ」が、最近お気に入りのアテである。
親子は間もなく、立ち去った。

ふと、この10年でどれだけのビールを飲んだか、概算する。
350ml缶で1,000本は飲んだか。
…いやいや、1年で100本だろ、そんなわけがない。
缶ビールは週3本をコンスタントに飲み続けたとして、10年で1,500本、この数は下回らないだろう。
まあ、1,500本から2,000本のレンジの上の方に入るだろうから、2,000本ということにしておこう。
つまり700Lということで、25×15メートルプール1.8mm分くらいか。
改めて数にすると、バカバカしい。

ようやく、本来の目的である「美しい星」の上映時刻となる。
1日1度の上映、今日が最終日であり、客は50人くらい。
キャスティングが理由であろうか、30代以上の女性が多い。
事前にやたらと邦画の宣伝が多く、「見るかなー」と疑問に思うものばかり。
芳根京子の取りつかれたような演技に目を見張るものの、僕にはつまらなそうな映画だった。

本編の感想。
穏やかな感じで、僕の好むテイストであった。
翻案はあってよかったのだと思う。
原作に忠実であることを目的としていないのだから。
でも、事前に原作を読んでいなければ、僕の理解能力ではついていけなかっただろう。

さて、「ユメノ銀河」で始まった、僕の東京での映画鑑賞生活は、20年が経過し、「美しい星」を鑑賞するところまで行き着いた。
夢野久作から三島由紀夫、石井聰亙から吉田大八、小嶺麗奈から橋本愛、渋谷の単館系からさいたま新都心のシネマコンプレックス、と対応しているようにも関係ないようにも感じる。
僕の中では、落ち着くところに落ち着いた、20年にわたるぱっとしない生活だったと再認識する。

もう熱心に映画を見ることもないし、見ている先から筋を忘れる。
依然として、感想を誰とも共有できない。

夜遅くに店に入り、レモンサワーでホルモンを食べる。
TVでは、「アナザースカイ」に本田翼が登場。
25歳がどうとか、20代の生き方が30代の基礎となるとか、そんな字幕が出ていた。
その後の「NEWS ZERO」では30代半ばで去った小林麻央のことが取り上げられ、何とも言えない流れだなと感じる。
市川海老蔵は心のきれいな男であるし、全うした本人は覚悟ができるものだろうと想像するが、失う側の気持ちはやはり苦しい。

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