侵入
土曜。
例のごとく酒精に浸り、真夜中を迎える前に眠くなる。
台所で水を飲み、歯を磨き、寝室へと向かう。
そこに待ち受けていたのは…、ムカデだ。
出現をずっと懸念していたが、これまでは運良く出くわすことがなかった。
それが今夏、ついに目の前に現れてしまった。
体長は7、8cm。
古新聞を手に取り、叫喚しながら力の限りたたく。
格闘は、3分ほど続いたと思う。
やつの生命力は強大である。
別のやつがひそんでいるのではないか。
気になって、この夜は熟睡できなかった。
翌朝。
早速、「ムカデ 殲滅」で検索。
やはり、草取り専用の庭の手入れをおろそかにしていたことが、出現の原因となったように思う。
「ムカデはつがいで行動する。だから、1匹見つけたらもう1匹いると考えたほうがいい」とよく言われますが、実際にはつがいで行動することはありません。むしろ、1匹見たら数十匹いると考えたほうが適切です。
などという記述を見つけ、悶絶する。
実際、発見して以来、家の中で立て続けに計4匹発見した。
そのうち1匹は、ベランダに面した窓の網戸に挟まっていた。
どうやら網戸を閉めたときに偶然いたらしく、乾いた死骸が網戸の桟にへばりついていた。
まったく、山小屋じゃないんだから。
家で見かけるのも嫌だが、検索するのも気の引ける作業だった。
おかげで、見たくもない写真を多く見てしまった。
そして、決して後ろに下がらない習性があるから戦国武将はムカデをデザインとして取り入れていたことを知り、ムカデをペットとして愛玩する人がいるという事実を知ってしまい、「ムカデ人間」という映画があることも知ってしまった。
「ムカデ人間」については検索しないことをおすすめします、と強く言いたいが、この記述自体がすでに「鼻に豆を詰めないでください」になってしまう。
リンクを張らないところが、僕の良心です。
最近では、Windowsで現れるプログレスバーを見ると、思い出してしまう。