所詮
2010-07-10
趣味は、読書である。
空き時間があれば、本ばかり読んでいる。
読書が趣味であることを公言すると、相手が気を遣って「では、お薦めの本はありますか」とか「今は、どんな本を読んでいますか」と尋ねてくることがある。
しかし、その手の質問に、僕はまともに答えることができない。
5分前に読んだ文章の内容ですら、僕はすでに忘れているのだ。
本の話で盛り上がることなんて、僕の場合は一切ない。
それゆえ、周囲の人たちは「あいつは何のために本を読んでいるのだ」と陰で指摘しているらしい。
「本ばかり読んでいる暗い人間のくせに、大したことを知らない」とも言われているらしい。
親切な人は、その指摘を聴きつけ、僕に「あの人がこう言ってたよ」と教えてくれる。
読書しても何も身についていないことに気づくたび、虚しさを感じる。
趣味が読書だなんて言いたくなくなるし、数少ない人生の楽しみである本を読むことにすら嫌気がさしてくる。
しかし、最近は開き直ることにしている。
これまで読書に多くの時間を費やしてきて、ようやくこの程度を保つことができているのだ、と。
もし自分の限界に嫌気がさし、読書をやめてしまっていたら、僕はコンビニで買物をすることも難しいくらいの知能に落ちきってしまっていることだろう。
誰も納得してはくれないけれど、致し方ない。
読んでも、読んでも、何も役に立たない。
かといって、読むのをやめてしまうと、僕の場合もっとひどいことになる。