曇天の続き

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2009-12-26 Sat.

残響

2009-12-26

My Little Lover。
我らが世代の文化を代表するミュージシャンである。

経験上、MLLのファンであることを表明したら、損することばかりである。
ほとんどの場合、いい反応を返されたことがない。
好感を持って迎え入れられた「いい記憶」もない(もともと僕には「いい記憶」なんて皆無だ)。

分析するに、そうなる理由は以下のようにまとめられると思う。

常にビジネスのにおいがつきまとっている。
曲調が少々古くさい。
声が高くて、若干耳に付く。
歌詞に共感できない。
ビジュアルが現代的ではない。
しばらくヒットを飛ばしていない。
どれだけ立て続けにベスト盤を出すんだ。
どうもスキャンダルにまみれている。
メンバーが脱退した。
メンバーだった男がどうも信用できない。
ナンシー関に、「My Little Loverっていうネーミングセンスって!」と指摘された…。

すいません、少し言い過ぎました(すぐにちゃんとフォローします)。
しかし、MLLに批判的な人たちの論調を思いつく限りあげてまとめると、だいたいこんな感じである。

僕はと言えば、(ダビングではなく)CDを何枚か持っている。
そして、以前はよく聴いていた。

しかし、これだけ批判めいたことを言われると、聴いていることに罪悪感すら覚えてしまう。
それに、MLLは「時代の音楽」で、今聴くにはもう古いのかな、とも感じていた。
確かに、たまに「ミュージックフェア」に出ているのを見ると、悩みこんでしまう。

そういうわけで、しばらくメインでは聴かなかった。
アッコ取り違え事件」もあったし、「ジョン・レノン スーパーライブ2003」の所感もあったし。

でも、新しいアルバムのチェックだけは続けてきた。

ところが、実はこの1年間、月に2度程度の割合でアルバム「akko」を聴いていた。
初めて聴いたとき、何か心に引っかかるものがあった。
しかし、「そう思うのは幻想かもしれん」と思い返し、聞き極めるために1年かけて何度も聞き込んで、吟味していたのだ。

その結果分かったこと。
アルバムの半分くらいは聴いていてつらい。
でも、残りの半分は嫌いじゃない。
歌詞が耳に入ってくるし、曲についても以前と異なるテイストを取り入れている気がする。

所詮僕は、1990年代後半の流行文化の囚人である。
どうせ客観的な判断などできないのだろう。

しかしながら、1年間聴いた結果なのだから、もう認めてしまおうと思う。
僕はこのアルバムがそんなに嫌いじゃない。

他人のウケを気にして、自分の好きなものを手放してしまうことは非常に愚かなことだ。
僕にはもう使える時間が限られている。

ただ、無駄に嘲笑されるのは苦痛なので、あまり声高には言わないことにしようと思う。
それに、自分の趣味嗜好によって、他人の尊厳を決して侵してはならないのだ。
つまり、そっちの趣味には口を出さないので、こちらの趣味にケチをつけたりしないでくれ、そしてそっちの趣味を押しつけないでくれ、ということだ。

「好きなものは好き!」と
言える気持ち 抱きしめていたい

お願いだから、抱きしめるだけにしておいてください。

こういう思考システムを持っていることに気づいてから16年。
今も、ほとんど変わっていない。
変わったのは、自分が気に入っているものを大切にし、そして何も期待せずほんの少し公表するように心がけている、そして、相手のシステムに少しは興味を持つ姿勢をとる、ということだけだ。

新作「そらのしるし」はまだ聴いてない。
いずれ聴くことになるだろう。

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