単館
ほぼ半年ぶりに、コンテンツストアに行った。
「コンテンツストア」とは、音楽CDとかビデオDVDとか音楽雑誌などを売っている店、古くは「レコード店」と呼ばれ、最近は「CDショップ」と呼ばれている業種の店舗のことである。
名称が今後どう変遷するかわからないので、今日は「コンテンツストア」と呼ぶことにする。
もっと普遍的で適切な名前があれば、教えてください。
そんなに広くない店舗だったので、くまなく見て回ることにした。
新しいバンドの名前は覚えられないし、古いバンドの名前はもう目にしたくない。
だから、たいした収穫もなかった。
サウンドトラック盤の売り場へ行くと、1枚のCDがジャケットを表にしてディスプレイしてある。
そこには「あんにょん由美香」と書いてある。
「由美香」と聞いて僕が思い出す名字は、「林」だけである。
ちなみに今は、2009年である。
でも、「あんにょん由美香」 の「由美香」とは、本当に「林由美香」のことだった。
そして、「あんにょん由美香」とは、2009年7月11日にポレポレ東中野という映画館で公開される映像のタイトルだった。
ポレポレ東中野には行ったことがないけど、同じ場所に以前あったBOX東中野なら何回か行ったことがある。
BOX東中野で何を見たのかあまり記憶にないが、「シンク」というタイトルの映画を見たことだけ覚えている(そして、映画の内容は例のごとく忘れている)。
これまで東中野駅で降りたのは、BOX東中野に行くためと、大江戸線に乗り換えて赤羽橋に行くためしかない。
「林由美香」、「早すぎる消失」、「東中野」、「ミニシアター」、「奇跡のレイトショー」。
前世紀末的なキーワードだけど、結局僕はそれらを前に立ち止まっている。
経験から言うと、人生のファースト・インパクトでその後の人生の指向が決定されてしまう。
その衝撃から解放されることは実に難しく、永遠の囚人となる。
未来ある若者には、主体的かつどん欲に文化を追い求めることと、良質な文化が提供される幸運を祈ることを、おすすめしたい。
「あんにょん由美香 original sound track」 のCDケースには手書きのポップ広告が貼ってあり、そこには「川本真琴が参加」と書いてあった。
「CDショップは、30代以上の客しかもう来ない、呉服店みたいになってるんじゃないか」と思いながら、その場を後にした。