曇天の続き

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2009-04-05 Sun.

脱帽

2009-04-05

小倉にはタワーレコードがない。
約百万都市の都心なのに、小倉にはタワーレコードの店舗がない。

厳密に言うと、「タワーレコードはあった」。
駅の北口、ラフォーレ原宿 小倉店(断じて「ラフォーレ小倉」ではない)に出店していたが、ラフォーレ原宿の撤退により2007年に閉店したのだ。
以来、小倉にはタワーレコードの店舗がない。

小倉に在住の頃、タワーレコードが小倉にできた。
すごくうれしかった。

それ以来、タワーレコード小倉店に頻繁に足を運んだ。
ヒットチャートを無邪気に追いかけていたのももちろんだが、別の楽しみもあった。
並んでいるCDをつぶさに観察し、芸能人が出しているCDを見つけ、無駄な知識を増やしていたのだ。

確か、1995年の話。
友人とタワーレコードに行き、いつものようにCDを眺めていると、ある俳優が出しているアルバムを見つけた。

柳葉敏郎である。
アルバムのタイトルは「Y」。

隣には、柳葉敏郎がリリースした別のアルバムが並んでいた。
タイトルは「A」。

さらに、別のアルバム。
タイトルは「N」。

「…!」

「驚愕の事実を発見いたしました」と言ったかどうかは忘れたが、あわてて友人を呼んだ。

「次のアルバムのタイトルはどうするのだろう?」

僕らは温かい目で成り行きを見守ることにした。
見切り発車でないことを祈りつつ。

(蛇足的もしくは鯨翼的説明:「Y」「A」「N」と続いたのには何らかの意図があることが推測される。推測するに、「YAN…」と続く単語を形成しようとしているのではないだろうか。このように続く英単語としては、例えば「YANKEE」が挙げられる。この場合、次に予定されているアルバムのタイトルは「K」となる。しかし、「欽ドン!」で「良い先生 悪い先生 普通の先生」の良い先生、その名も「良川先生」を演じた柳葉敏郎のことである。「YANKEE」のような単語を意図してアルバムをリリースしている御仁とは考えづらい。ましてや、アメリカ人ですらないのだ。だとすると、他の英単語を意図していると考える方が道理が通る。ところで、柳葉敏郎の名字をローマ字で記述すると、「YANAGIBA」となる。もし「YANAGIBA」という単語を形成しようとしてアルバムのタイトルをつけているとすると、「YANAGIBA」の「N」の次に来るアルファベットは「A」であるため、「N」の次のアルバムのタイトルは「A」となるであろう。ところが、「A」というタイトルは「N」の前にリリースされたアルバムに既に使われている。同じ名前のアルバムがあってはいけない、という道理はないが、同じアーティストが同じタイトルのアルバムを出すのはいささか体裁が悪い。だから、「次のアルバムのタイトルはどうするのだろう?」という疑問が生じることとなる。なお、一応付け加えておくが、鯨に翼をつける場合において、翼の付け根の部分の接地面のことは考慮しなくてもいいくらい十分に強いものとする。以上、説明終わり)

答えが出たのは、翌1996年のことである。
そのタイトルは、

「A ’96」

…なるほど。

と、ここまでは、僕がくだらない暇つぶしに興じていた頃の話だ。

最近少し気になって、その後の展開を調べてみた。
さすが、ネット社会。

以下、彼のその後のアルバムのタイトルである。

「G」
「I」
「B」

そして、

「A 2000」

僕の興味が失せても、彼は脈々と作業を続けていたのだった。

ただ残念ながら、現時点ではこれ以降アルバムを出してはいないようである。
次回作「T」を心待ちにしている。

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