計画
異国民に疑問を呈している芸人が叫んでいるとおり、投資は実につまらない性質のものなのだろう。
そして、投資は常に苦しい。
2021年末、「年間を通じて、収入から60ドルほど余剰が生じ、投資損益は120ドルほどのプラスになった」と記した。
それから1か月で、株価は大いに下がり、評価損失は前年の蓄財と同額の60ドルとなった。
それでも、僕は何の手も打たないままやり過ごすことしかできない。
なぜなら、僕は臆病で優柔不断であるからだ。
どのような状況になっても、前年末に立てた計画通りの投資活動を行う。
すなわち、前年の余剰である60ドルを24分割し、2週に1度、インデックスファンドを2.5ドルずつ買う。
なぜ分割して買っているのか、と問われると、そうでもしないと本当につまらなくなるからである。
一括購入すれば、それで年内の投資活動が終了してしまう。
意味などなくとも、何かやってないと、やっている気にならないと、本当につまらない。
毎回投資信託を何口買えたかを確認し、1口単位まで記録して、帳簿と合っていることを確認するだけが、楽しみとなる。
こんな時は、妄想に逃げ込むことにする。
誰か、無条件で4Mドルほどくれないだろうか(贈与税納付済みで)。
再三書いているのに、その動きは一向に現れない。
4Mドル手に入ったら、何をするか。
ひとまず、現状の資産目標額である2Mドルを達成しておこう。
目標は達成するためにある。
資産2Mドルは、インデックス投資に回す。
残りは、2Mドル。
これで、優雅で豪勢な生活を送る。
まず、服をすべて買い替える。
今着ている服はすべて、妥協に妥協を重ねたうえで購入した服であり、気に食わない。
それを全部リサイクルに回し、新たに上質で、長く着ても廃れない、ベーシックなデザインのものを購入する。
これで、20Kドルは消費されるだろう。
次に、習い事を始める。
何を習うことにするかアイデアはあるが、ここには記さない。
これで、年12Kドルの消費。
今の仕事は、たぶん辞めない。
金で好きな仕事を買うことはできないし、金で能力を買うことも難しい。
だけど、専門業務、得意とする業務に今よりもっと専念するし、どのように酷評されようとも職掌外の業務は信念をもって断るようにする(つまり、信念は金で買える)。
そして、休暇を積極的に取得する。
できれば週休3日に、それが無理なら週休2.5日。
それも許されないようなら、月末の金曜だけは15時で退勤する。
休暇を使って、旅行をする。
2か月に1度くらい、週末に泊まりがけで出かけよう。
遠くでなくてもよく、例えば横浜に泊まりに行くのでもいい。
しばらく別の都市に住み、リモートで仕事をすることもできるかもしれない。
ほどほどのホテルに宿泊し、夜はご当地ラーメン、そして健康的朝食を楽しもう。
年に8Kドルほど使うだろうか。
旅に出やすくするために、交通の便の良いところに引っ越しをしてもよいだろう。
この時代、最も交通の便がいいのは武蔵小杉かもしれないが、武蔵小杉自体が不便そうだしざわついてもいる。
ここは僕が考える交通の便最強の土地、西日暮里の賃貸で手を打つことにするか。
でも、今住んでいるところでも新幹線駅へのアクセスがいいし、空港行きのバスも出ているので、引っ越しはしばらく様子を見てもいいかもしれない。
あとは、歯科医院に通う。
今は、時間と費用の制限があり、年に1度診てもらうだけだ。
それを、歯科医が推奨する通り、3か月に1度の頻度にする。
年1Kドルほど見込んでおけばいいか。
まとめると、初期費用として衣服費の20Kドル。
そして、習い事と、旅行と、歯医者と、毎年の衣服で、年間25Kドルほどの余剰費用がかかるだろうか。
生活費は、引き続き労働で賄うことにする。
まず最初の年は2Mドルからひとまず50Kドルほどを消費し、残りはインデックス投資に回す。
投資に回すのは、ノブレス・オブリージュである。
2年目からはファンドを毎年25Kドルを売って、消費する。
元本が保たれるとして、2Mドルを使い切るまで、約80年かかる。
80年か、残された人生、その年数を健康で過ごせるだろうか。
消費のペースを上げるために、仕事からの収入を当てにせず、普段の生活費もまかなうことにしよう。
生活費は、贅を尽くして月4Kドル、年50Kドルほどを見込もう。
そうすると年75Kドルは必要で、このペースだと2Mドルをおおよそ25年ほどで使い切る見込み。
そこまでいけば国破れて山河在り、国民年金と厚生年金が支給され、その額で暮らしていけるだろう。
いやいや、最初に2Mドル取っておいたのだった。
インデックス投資に回した約4Mドルの利回りで、年75Kドルくらいまかなえそうな気もしないでもない。
計画は立った。
あとは、4Mドルを受け取るだけだ。
尊属の構成員が入れ替わるくらいのことがあれば、その可能性も出てくるかもしれない。
あるいは、年に25Kドルの永年支給を受けてもいい。
ここはひとつ、文化功労者にでもなればいいだろうか。