曇天の続き

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2020-12-19 Sat.

歯失

2020-12-19

2020年。
錦鯉の長谷川さんの芸には、ずいぶんと勇気づけられた。

年齢を重ねた自分がくだらないことを口にしてしまい、ちゃんとした振る舞いができない自分を振り返り、「こんなしょうもないことを言っていていいのだろうか、年相応にもっとまともなことを言った方がいいのではないか」と思うことが多くなってきた。
社会の一構成員として、これまで社会の恩恵を受けて生きた成人として、楽しいことをは脇に置き、無駄な時間を過ごさず、世の中のことを真剣に考えなければならない、という思考が自分の中を占めるようになっていた。

そんな中で、2019年のM-1敗者復活戦で目撃したのが、錦鯉の長谷川さんだった。
40代後半で白いスーツに身をまとい、全力で叫んでいるその姿に、まずは驚いた。
年が明け、ネタ番組でも何度か見かけるようになり、くだらないことばかり言っている姿に笑いが止まらなかった。
しかしながら、あることに気づき、年の途中から笑えなくなった。

自分よりいくつも年上の50近い男性が、周囲から年相応に見られることを一切気にせず、ただただおもしろいことを言って笑わせ、自分にできることを全力でやって、自分の姿をさらけ出している。
その姿が神々しいとまで感じるようになった。

人生の先輩がここまで徹して、面白いことを表現している。
一方で、それより年下である自分は、社会の要求に合わせようとし、できもしないのにかしこまったそぶりをしようとしている。
そんな思考を情けなく思った。
長谷川さんには到底及ばないけれど、自分ももっと楽しいことを周囲と共有するために、社会の見えないルールに抗い、ちゃんとしないことをちゃんとしよう、と気持ちを新たにした。

長谷川さんがいる以上、僕らは挑戦することをあきらめないでいられる。
だから、長谷川さんの奥歯について早く医学的処置が施されてほしい、と思う一方で、そんなことを気にせずに芸を追及してほしいとも思う。
ものすごく複雑な気持ちだが、それはそれとして、自分もがんばっていきたい。

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