曇天の続き

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2020-08-08 Sat.

変心

2020-08-08

「味変」が苦手である。

もう少し正確に言うと、「味変」という言葉、概念が苦手である。
ソース、ポン酢、塩が数種類添えられたとんかつが出てきて、「途中から味を変えて召し上がっていただくと、より楽しめます」とか言われても、最初に一通り試して、気に入ったのをずっと続ける。
どうも「味変」というのは、途中でその味に飽きることが前提にあるような気がする。
飽きるような味なら最初からやめればいいし、「味を変えればまだ食べられる」などという概念とは、僕は無縁である…。

さて、先日、ラーメンを食べた。
詳細を書くと勘のいい方は特定できるだろうが、食べたのは「牛骨味噌ラーメン」というもの。
初めて行った店であった。
「外出などするな」という意見の諸先輩方もいらっしゃるだろうが、だからこその「先日」という前置きである。

ラーメンには牛すじ肉が添えられており、控えめに言って自分の身もとろけてしまう。
その奥に、トマトの粗いペーストがのっている。
僕にとって、このトマトは「異物」である。
まずはそのトマトがスープに溶けないように、レンゲと箸を慎重に進める。
うまい…。

やがて崩れるトマトペースト。
抵抗むなしくスープへの侵攻が進み、器の半分ほどをいったところで、かすかな酸味が広がるようになった。
…これはまた新しい味。
汁中を支配していくトマトのしたたかさに、体がしびれていく。
これが最初から「トマトラーメン」と謳われていれば、僕は決して注文することはなかっただろう。
また、トマトペーストを最初に溶いてしまっていたら、当初の純粋な味に出会うことはなかった。
1つのラーメンで味のグラデーションを楽しめる、なんとすばらしいことだろう…。

そして僕は、好みの把握をより正確なものへと改める。
僕は、「摂取量を目的とした「味変」が苦手」である。
これまで各方面で僕の話を聞かされてきた方々、どうもすみません。

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