曇天の続き

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2020-06-05 Fri.

被覆

2020-06-05

マスクにまつわる小話を3品。

電車に乗っていると、車内にかぐわしいコーヒーの香り。
横を見ると3つ隣の席に座っている男性が水筒を開け、ホットコーヒーを飲んでいた。
何と優雅な朝だろうか、と思う一方で、よく考えればこちらはマスクをしている。
飛んできたコーヒーの分子がどの程度の大きさか知らないが、ウイルスよりは大きいと思うし、いわゆる飛沫よりは小さいと思う。
においを防げないマスクのCOVID-19への効果はあるのだろうが、気温が高くなるとマスクの中がかゆくて仕方ない。

道を歩くと、不動産業と思われる男と地主と思われる男、どちらもマスクを着用。
不動産業が、「暑いですね、こんな暑い日にマスクをするのも大変でしょう」と地主に話す。
地主は「そうだな」という感じでうなずいていたが、僕が見るにその地主の頭部には、いわゆる「僕が見てもばれるタイプのかつら」が着用されていた。
「夏のマスクが煩わしい」などと言っているうちは、かつら愛用者の苦労など理解できるわけもない。

これまた電車内。
車両の乗客のほぼすべてがマスクを着用しているような、不自由な世の中になった。
乗客は、人ぞれぞれにいろいろなマスクをつけている。
材質が布のマスクもあるし、不織布のマスクもある。
色も、白だけではなく、黒、青、グレー、ベージュなど様々だ。
形も長方形のものもあれば、プリーツ付きのもの、立体型のものなど、それぞれ違っている。
その中で、最近見たのは、マスクの表面に黒い丸と「人」の字の両端が上がったような形、その下に舌の絵が描かれたもの、いわば犬の鼻口、muzzleが施されたものを着用している人がいた。
それが子供だったらかわいらしく受け入れられるが、着用していたのは中年男性で、これから仕事に向かうような恰好をしていた。
およそ自らの選択で着けているとは思えず、このようなマスクの着用を強要する社会が、憎い。

「マスクをしないで外出する」というのは、どうやら「裸で歩く」くらい破廉恥な行為になってしまったようだ。

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