曇天の続き

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2020-04-29 Wed.

美日

2020-04-29

少し前、父が仕事をリタイアした。

以来、毎日することがないのだと言う。
電話の声にも、覇気がない。
母は、「季節が一巡するころには慣れるやろ」と言っている。

僕は、父を慮り、以下のような発言をした。

今の世の中、サブスクリプションというものがある。
月額数百円で、契約したチャンネルで見られるビデオは見放題だ。
僕がもし長期の休みを得たら、毎月サブスクリプションを渡り歩く生活を送るだろう。
父さんは、昔どんな映画を見ていたんですか…。

例のごとく父は昔の記憶を失っており、「はて、よう見たはずやが、何見よったやろか」とつぶやく。
僕も将来、いやもうすでに現時点でもそうだが、過去の具体的なエピソードなど、悪い思い出を除いて、すべて忘れ去ってしまうのだろう。

上の会話をしていたのは、今年の1月だったかと思う。
そのころは、4月の僕が父と同じような境遇、つまり「家にとどまり、することを自分で探さなければならない」という事態になるとは、考えもしなかった。

そして、考えようによっては、幸運である。

VODで見られるものは少しずつ見ているが、見たいものがVODにない場合も多い。
DVDを借りに行けばいいのだが、外出するなと言われているし、こんな時に近所のTSUTAYAは休業している。
それなら、ネットでDVDをレンタルし、郵送してもらうことにする。

それで、先日借りたのが、映画「Beautiful Sunday」。
前回見たのは1998年12月13日日曜で、場所はやはり渋谷のシネ・アミューズ。

始まってすぐに、「わっ、尾藤桃子出ていた」と思いだす。
J-PHONE presentsで、永瀬正敏主演。

例のごとく、話の筋を完全に忘れている。
「下妻物語」以前の中島哲也監督作品として、「つまらない日曜」というコンセプトが今でも好みであることを確認できた。
しかし、どちらかというと「夏時間の大人たち」のほうが、比較的話が存在するので好きだ。
年を取ってしまい、この映画を見るにはどうやら忍耐力が欠けているようだ。
若い時にしか見ることができない映画、というものがあることを改めて知る。
そして、若い時に確かに見ていたのに、今の自分にとって特に何かになっている自覚がない。

結局のところ、若い時期をどう過ごしても、すべて無駄に終わることが決まっていたのだと、自分に言い聞かせる。
そんなことを思ってもまだ、時間が余っている。

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