立志
情報処理安全確保支援士試験を受験。
6時起床、6時30分出発。
駅前のファストフード店で、朝食。
日曜のこの時間でも、それなりに客がいて、カウンターの列は途切れず、店員がうんざりしているような、単なる寝不足のような顔をしている。
「ファストフード店はもはやインフラである」と、2003年頃に唱えたことがあったが、まさにその通りである。
「ファストフード難民」のような言葉を聞くと、気が滅入る。
午前IIの過去問を3年分解く。
おおよそ8割を超える正答率で、知らないことが2割もあることに恥じる。
1回だけ、正答率が6割を下回り、大いに焦る。
16時30分までの試験だ、午前で敗退するのは、ショックが大きすぎる。
まだ時間があるので、午後の過去問に目を通す。
わかるような、わからないような、自分の伸びしろの存在を感じず、今後鍛錬を重ねても現状を超える成果を出せる気がしない。
成長しないのなら、1回で合格したい。
まだ時間があるので、読書。
広中平祐「学問の発見」。
最初の数ページを読み、たちまち居住まいを正す。
この本は、僕にとってゆっくり時間をかけて読むべき本だ。
バスの発車時刻が近づき、店を出る。
試験会場は、おじゃまんが山田くん大学、駅から徒歩20分キャンパス。
よほどの忍耐力がないと通えないと思われる位置に在する地に、路線バスを駆使して出向く。
キャンパスの周辺に、学生用と思われるアパートがいくつもあるが、実家を出て仕送りを受けて通うことを思うと、もはや絶望を感じる。
時間があるので、校舎内を見回る。
もうすぐ文化祭があるようで、現クールの連続ドラマにもレギュラー出演している、家族の結束が固い女性有名人を招き、ファッションショーをするようだ。
また、野性的な行いで一世を風靡した芸人が審査員を務めるイベントも開催される。
皇宮護衛官の採用試験のポスターや、入庁すれば奨学金を代替返済する自治体のポスターなどを見て回る。
会場の出席率は7割程度。
まずは、午前IIを10分ほどで解き、暇を持て余す。
これまでの「試験を早く解き終わってできた余裕」を貯めておき、別の機会に発揮することができれば、一財産築けたのではないかと思う。
午後Iになると、途端に難しくなる。
大問3問のうち2問選択だが、選択した2問の解答欄を埋めきれず、もう1問も解いてみる。
結局後から解いたほうの問題を選択し、時間切れ。
午後IIも難しい。
もともとネットワークが苦手で、これまでもネットワークスペシャリスト試験を4回、情報セキュリティアドミニストレータ試験を1回落ちているのだ。
外を見ると、夕方の空。
日曜も、もう終わりだ。
思えば、中学時代に受けていた公立高校入学試験の模擬試験に始まり、週末の貴重な時間を数多くの試験に費やしてきた。
考えてみると、もう30年くらい同じことを続けている。
僕が30年続けてきたことといえば、他には小遣い帳の記入と「いいとも増刊号」の視聴くらいだ。
情報処理技術者試験だけでも、18年も受け続けている。
いよいよ飽きてきた。
僕の生きていける場所は、結局こんなところにしかなかったのだろう。
途中退出可能時間が終わるころにあきらめ、解答用紙を回収してもらう。
「お疲れさまでした」と試験官に声をかけられるが、こちらこそこんなことに付き合わせてしまい申し訳ない。