曇天の続き

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2019-07-13 Sat.

桜望

2019-07-13

5時30分起床。

ロビーで風呂場が開くのを待つ。
昨夜はBGMかと思っていたが、ロビーには実際に鈴虫がいて、音色を奏でていた。
…すごく、うるさい。

古い柱時計が6時を告げ、風呂へと向かう。
露天風呂に出ると、雨が降っている。
昨日の天気予報では、午後から持ち直すようなので、気にしない。
40分ほど風呂を楽しみ、上がる。

朝食も、ほどよく豪華である。
めしを4杯食らい、しばし横になる。

TVで天気を確認すると、天候はやはり午後から回復する模様。
天気予報の地図で、自分がいる指宿の位置と、小倉の位置を確認する…、遠い。
およそ指宿は、小倉に行くついでに寄るようなところではない。
東京に当てはめるのなら、ついでに仙台に寄るような感覚だろう。
どうも東京に染まってしまったようで、九州ならどこも一緒のように考えていたようだ。

思い起こせば、初めて鹿児島県を訪れたのは、小学生の頃の祖父との旅行だ。
出水平野へ越冬するツルを見るのに、いとことともに連れて行ってもらったのだった。
その時は、行きは特急有明、帰りは寝台特急はやぶさの寝台昼間利用、いわゆる「ヒルネ」で小倉まで戻った。
祖父の酔狂で「ヒルネ」を体験でき、しばらくの間、はやぶさに乗ったことが僕の自慢だった。
そのときはおそらく片道4時間以上かかり、「はやぶさに長く乗れてよかった」と思ったように記憶する。
その記憶すら忘れていたから、こんな無謀な移動を計画してしまった。

砂蒸し風呂の開館に合わせて、出かける。
草履を用意してくれたのが、またよい。

今回の旅の第一の目的は、砂蒸し風呂を体験することである。
11年前に訪れたときは、台風が到来していたため、砂蒸し風呂はどこも中止であった。
こんな果てまで来て、砂蒸し風呂を楽しめないとは、よほど運がなかったのだろう。
しかしながら、よくよく考えれば、当時は、台風接近中に大隅半島から薩摩半島にフェリーで渡ることができたし、台風直撃の枕崎で事故も起こさず車を運転できたのだから、むしろ幸運に感謝するべきである。

とにかく「今回こそは」の意気込み高らかに、満を持して砂蒸し風呂を堪能することにする。

脱衣所で浴衣だけを着用し、現場に向かう。
相変わらずの小雨なのだが、傘を指すほどではない。

砂蒸し風呂会場に到着。
外国からの客が半分程度。
砂に横たわると暖かく、体の上にかけられる砂は重い。
10分くらいが適切、とのことなので、それに従う。
暖かくて、心地よい。
砂風呂から上がり、建物の中に入り、ある程度砂を落としてから、温泉に入る。
湯は少々塩辛いようだ。
広い風呂で、控えめに言って、最高である。

風呂から上がり、しばらく周囲を散策したあと、宿の送迎車で駅まで向かう。
本来予定のなかった特急「指宿のたまてばこ」に乗ることにする。
単なる気動車の改造列車に特急料金を払うのはしゃくだ、と旅行に出る前は考えていた。
しかし、現実に乗れる選択肢を与えられてしまうと、どうしても抗えない。
鉄道ファンの悲しき性である。
ただ、時間がない中で移動を楽しめるという点では、この特急もいいものだ。
水戸岡先生はよく考えていらっしゃる。

鹿児島中央駅に到着。
突然、激しい雨が降ってくる。
すぐにやみそうなので、駅ビル内で昼食をとり、時間をやり過ごすことにする。
昼食は、もちろん鹿児島ラーメン。
今日のラーメンの味は、自分に合うものであり、気に入った。

雨がやんだので、外に出て、市電に乗る。
路面電車が残る街がうらやましい、と北九州出身者は思う。
天文館を目指すが、地図を見ると海が近いようなので、いづろ通電停まで乗り、そこから歩いて海を目指す。
それにしても、雨のせいで蒸し暑い。
来た道を引き返し、夜の繁華街を昼に抜け、天文館の店でしろくまを食べる。
僕は、しろくまのヨーグルト味が少し苦手で、今回もダメかと思っていたが、この暑さのせいもあり、とても美味しく感じた。

市電で鹿児島中央駅に戻り、各方面へのお土産を購入。
新幹線車内で楽しむさつまあげと350mlビール2本を購入。

九州新幹線のプラットフォームへ上がる。
鉄路の終わりに大きな車止め。
これが、東京から繋がる線路の終点である。
これから、800系のさくらにのり、博多駅を目指す。

車内は空いており、やはり指定席券を購入する必要はなかった。
トンネルが多く、景色を楽しむことはできなかったが、車内設備がよく、快適に過ごすことができた。
途中、熊本では豪雨だったようで、新幹線に遅れはなかったが、在来線に運休が出ていた模様。

博多駅に到着。
向かいのホームに移動し、3分後に出発するのぞみ東京行きに乗る。
あまりちゃんと考えていなかったのだが、後方車両の自由席に乗る。
20分もかからずに小倉駅に到着。

おいへの土産に単3の乾電池を購入し、タクシーで実家を目指す。
タクシーの運転手によると、北九州は災害が何もなく、住みやすい街であることは変わらず、強いていうならば仕事が全くないだけが難点だということ。
これは、僕の父親の談と同様である。
運転手の説では、以前北九州を離れた人、例えば1980年代に君津へと行った人が、仕事をリタイヤしたことをきっかけに、北九州に戻ってきているのではないか、とのこと。
高齢化率が高い北九州ではあるが、他地域からの流入が多いことまでは気が回っていなかったので、今後の研究課題にあげておこう。

実家に到着。
本日の夕食は、刺身。
父が愛好する芋焼酎「出水に舞姫」もふるまわれる。
父親は、僕の養育にどれだけ金を使ったかを語り、僕はただただ感謝の意を伝える。

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