再芽
山田ルイ53世「一発屋芸人列伝」を読み終える。
この時期に読んだことには特に意味がなく、読むことになったのは公立図書館で借りられたからである。
ずいぶん前に予約していたのだが、待ち人数が多く、およそ1年待って順番が回ってきた。
筆者には著書を購入しないことを申し訳なく思うのだが、資金と保管場所という2つのリソースに限りがある。
僕は、お笑いファンである。
世間で「一発屋」と呼ぶお笑い芸人に対し、僕は世間とは少し異なる感情を持っていると思う。
当然、同じ「一発屋」でも、出てきたときに面白いと思う芸もあるし、全く理解できない芸もある。
それとは別に、ブームが去り、「一発屋」というレッテルを安易に貼られた後の芸人たちの立ち居振る舞いを、それ自体を芸として興味深く見ている。
いや、タカダ・コーポレーションのことではない。
「一発屋芸人列伝」には、髭男爵自身はもちろんのこと、コウメ太夫、ジョイマン、ハローケイスケなどが、その名を連ねている。
その中には、レイザーラモンHG、ムーディ勝山、天津・木村の名もある。
ただただ、ため息ばかりが出る。
お笑いファンサイドとして、芸能界だけを見て言うと、今回の件について芸能事務所がハンドリングに失敗した面は否めない。
それによって、会社は大きな商品をいくつも失った。
その一部は、商品価値を回復できないかもしれない。
自業自得どころではなく、ファンにとっては極めて迷惑である。
それに加えて、最年長者の対応があまりに粗末であった。
何といっても、客商売である。
数年前からの風向きを謙虚に受け止め、自分の立ち位置を見極めて、腹をくくった対応をすることこそやるべきことであり、それが自分より弱い立場にある人たちにできる数少ないことの一つだった。
難しいことだとは思うが、その難しいことができなかったから、このような結果になったといえる。
いずれにせよ、結果の出たことであり、視聴者である僕はこの事態を受け入れていこう。
僕は、ほとんど何に対しても興味を持続できない質なのだが、せめてお笑いファンだけは死ぬまで続けていたいし、お笑いをずっと見続けたい。
お笑いの中に出てくるものは、今後も見ていきたい。