曇天の続き

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2019-01-26 Sat.

歌は残り、人は集う

2019-01-26

午前中、用事があり駆り出される。
担当セクションで、日ごろから思っていることをぶちまけたら、一部から好反応。
感謝している半面、誤解を持たれても困る。
とにかく、やるべきことはやったので、逃げるように立ち去る。

これからは、自由時間。
セブンイレブンで、予約チケットを受け取る。

時間があるので、シネスイッチ銀座で「日日是好日」。
僕はすでにこの映画がテーマとする境地に達しており、再確認となった。
話が都合よくて、薄くないか、と思うけれど、「ガールズ・ムービー」という点で、甘めに採点してしまう。
もはや、明るいガールズ・ムービーしか、僕は映画を見ることができないのかも。

映画館の近くにラーメン屋があることを以前聞いており、探してみたが、すでに移転。
移転先は、泰明小学校の近くのようで、そのあたりまで歩く。
やはり、店には行列ができていたので、今回は見送り。
それにしても、この辺りにラーメン屋が数店舗集まっていることがわかり、今後の探訪が楽しみ。

いくつかの丸源ビルの前を通り過ごし、新橋駅。
東海道線で横浜、京浜東北線で関内。
まだ時間があるので、イセザキ・モールを物色。
ここには初めて来た。
横浜は、なんと豊かな場所なのだろうか。
豊かだから多様性が維持される。

商店街入り口の焼き鳥屋に入る。
ビールとガツとやきとり数本を頼む。
ガツは大盛りで出て来て、下を探るとオニオンスライスが出てきた。
でもここは、とガツといっしょにタマネギに挑戦してみると、意外に食べられる、というよりおいしい。
タマネギの苦手な刺激がなくて、甘い。
ハツも、レバーも、大好きな砂肝も、くさみがなくて柔らかい。
豚バラも、いい塩加減。
ビール2杯と赤霧島、焼きおにぎりまで食べて、3,000円いかなかった。
昼飲み、最高。

関内から歩くことは断念して、京浜東北線で石川町。
そこから高速道路下を歩くことにする。
予想通り、風が強くて寒い。
予想していたからこそ、関内駅前の駅ビルのトイレで、使い捨てカイロを腰に貼ったのだが、それでも寒い。
でも、僕には歌がある。
朝からずっと聴いている。

20分くらい歩いて、横浜ベイホール。
スタンディングは、2005年11月12日の真心ブラザース再結成ライブ以来。
慣れないことに、とても緊張してしまう。

「ICE -The 25th anniversary LIVE-」。
ICE:国岡真由美(Vo)、山下政人(Dr)、小川真司(B)、崩場将夫(Key)、田口慎二(G)、大石真理恵(Per)、柴田章子(Cho)、鈴木精華(Cho)。

初めてのICE。
これまで行く機会を得ないまま、行けなくなってしまった。
20周年の時は仕事でそれどころでなくて、BSフジでの放送すら見逃してしまった。
25周年があるとは、とても幸運である。

観客は、ほぼ同世代ばかり。
フード付きパーカー爆発である。
こんなにも多くのファンが待ち望んでいたのか。
いや、当然だ。

立ち見エリアは両端に設けられていた。
僕は右後方に位置したが、柱でステージが、特にボーカルが見えないのではないか、と気になる。
座席をとれなかったり、開演30分前に到着したりした自分が悪いのだが、すごく心配。

そして、開演。
国岡さんの姿は柱の左ギリギリで見えた(後で、「国岡さんははだしだった」という記述をウェブで見たが、自分の立ち位置からは確認できなかった)。

数日前から、「PEOPLE, RIDE ON」で自分が泣くのではないか、と恐れていたのだが、そんな心配は無用だった。
1曲目の「spirit」で、すでに涙が出てきた。

ICEを聴いたのは、まだ小倉にいた時からだ。
多分に漏れず、宝石店の深夜CMでICEのことを知ったのだろう。
かっこよくて、気持ちよくて、疾走感があって、ずっと聴いていた。
ICEばかり聴いていると他のものが聴けないので、曜日を限定して聴いていたくらい、好きだった。
カセットテープを再生できるウォークマンを買って、受験勉強中に聴いていたことが多かったので、「I'M IN THE MOOD」を聴くと、あまりよくない思い出がよみがえる。
でも、それがあったから、上京できた。
こんなに美しく、すばらしいものがある、と知ったから、つまらない自分に起こるつまらない日常をくぐり抜けてきた。
いつかはICEのライブに行こうと思っていたが、いつの間にが時間が過ぎ、そのままどうしようもない状況になってしまった。

ICEを聴いていた知人というのに今まで1度も会ったことがなく、ICEのかっこよさを、これまで誰とも共有できていない。
重要なのは「知人がICEを聴いていた」という点であり、残念だけど「ICEを聴いていた人と知人になりたい」わけではない。

「ラヴァーズ・ロック」で泣き、「SLOW LOVE」で泣き、「MOON CHILD」で泣く。
曲で思い出して感情が高ぶるのもあるけれど、詞が今の歳の自分に響いてくる。
あんな時から、こんな詞を書いていたのか。

アルバムの曲に入っていたシャウトは、ドラムの人のものだったのか。
3ブロック終わったところで、アコースティックブロックになり、それもいいと思うと同時に、「ああ、もう半分は過ぎた、もう終わってしまう」と気付く。
「Love Makes Me Run」で大合唱して、終わってしまった。

アンコールでは、未発表曲。
また、何という詞なのだろう、「夜の星」ってなんだよ、拍手できないくらい落ち込む。
最後はやはり、「PEOPLE, RIDE ON」。
ああ、ライブアルバムで聞いたあれだ、あれができるのか!
「それこそが生きる理由」って。
書いている今でも涙ぐむ。

たとえば、通常のライブなら、その年に出したアルバムをメインに据えて、アーティストはその年々でいろいろと試すことができる。
それを見て我々は、「今年はこうで、来年はどんなふうになるんだろうね」という話ができる。

でも、ICEには、それがもうない。
全くなくなってしまえば、また別の気持ちになるのだが、すべてがなくなってしまっているわけではない。
「ないのにある」というか「あるのにできない」というか。
だから、今のICEのことをどう見ていけばいいのか、どう期待していけばいいのか、ものすごく苦しい。
そういう姿を、ステージ上も観客も特に見せないようにしているし、でもみんな間違いなくそのことを思っているし。
そういう気持ちがまぜこぜになって、落ち着き先がない。

帰りは、元町商店街を通って帰った。
やはり、寒い。
石川町駅手前の高速道路のカーブが印象的。

今日は生涯最高の休日の中の1つであった。
でも、もっと最高の形というのがあったはずではないだろうか。
後悔ばかりだ。

https://twitter.com/hashtag/ICE_loves
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