若江
柳井正は、ハロルド・ジェニーンの「プロフェッショナルマネージャー」を「これが私の最高の教科書だ」と評した。
僕は、「プロジェクトマネジメント」を、「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」で学んだ。
これは、冗談ではなく、本気でそう思っている。
目標の単純化と明確化、時間が限られていることの意識、目標の共有、目標の達成を優先し手段を選ぶ、メンバーに役割を与える、チームの雰囲気を大切にする、過去の経験を活かす、二兎を追わない、決して無謀なことをしないという勇気、あきらめない粘り強さ、成功と失敗を都度確認する、懸命な姿を見せ支持者を増やす、決断はリーダーが下す。
これらの点はすべて「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」の視聴で気づいたことであり、これらを業務や日常で実践すると格段の改善を得られた。
「番組で設定されている出発地と目的地である以上、時間内に到達可能な正解ルートが必ず存在することがわかっている」という点が、一般のプロジェクトにおいて当てはまらないケースがあるものの、正解ルートの存在がわかっていてもルートを必ず探索できるとは限らないのは、一般のプロジェクトでもよくあることだ。
一体誰が、蛭子能収とマルシアを引き連れて、大阪から金沢まで路線バスを乗り継ぐことができるだろう。
太川陽介は、優秀なプロジェクトマネージャである。
今回のリスク管理ぶりを見ても、それがよくわかる。
さて、「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z」第4弾(岐阜→鳥取)を視聴。
ちょうど、シリーズ1の第2弾と第8弾のそれぞれのルートの一部をつなぎ合わせたような形となった。
結局のところ、琵琶湖の迂回を左回りか右回りかにするかがポイントとなり、湖西と小浜は鬼門であることは、第19弾と同じだった。
惜しいように見えたのは、おそらく制作陣の、失敗することを考慮した上でのルート設定だと思う。
そうは言っても、大原を直接目指した点などは、制作陣の期待を越えてきたのではないだろうか。
確かに、見ていていろいろと物足りないところ、シリーズ1と比べてもっとこうしてほしいと思ったことはあった。
それでも、確実なルートがあるなら先に進める可能性を確かめる行動力、落ちている情報に目を配り活用できないかを模索する貪欲さ、笑顔を絶やさない村井美樹には感動した。
フィードバックをかければ成功率が上がる(メンバーのスキルが上がれば、ルートの難解度も上がるので、一概に成功率が上がるとは言えないが)、正しいフィードバックを得られるかは田中要次と羽田圭介次第である。
できれば、マドンナに体力的な無理をさせないためにも、また合理的なルートを用意している番組の趣旨を尊重するためにも、長距離の徒歩移動は控えてほしいが、口で言うは易し。