斜行
テアトル新宿へ行く。
記憶の限りだと、2001年2月14日、青山真治監督「EUREKA」を見た以来。
画角が間違っていた、とかで、上映10分後にもう1度最初からかけなおされた。
よりにもよって4時間を超える大作で、終わったのは23時を過ぎていたという、苦行の上映であった。
目的は、田中麗奈出演の映画である。
田中麗奈の映画を見たのは、1998年10月10日の「がんばっていきまっしょい」舞台挨拶の回に始まる。
チケットショップで、初日から800円で売られていた。
それ以来、映画館で見たのは「はつ恋」「東京マリーゴールド」「13階段」。
「13階段」は、2003年1月26日、試写会のチケットが当たったから行ったのであり、決して自分の意志があったわけではないことを改めて記す。
大画面で田中麗奈を見るのはそれ以来14年ぶりであり、ファンを標榜していると思えない不熱心さである。
自宅で見たのは、「暗いところで待ち合わせ」「夕凪の街 桜の国」「銀色のシーズン」「犬と私の10の約束」。
今回の映画は、「幼な子われらに生まれ」。
そもそも、舞台を見に行きたいと思いちょうど「髑髏城の七人」があったが、いきなり劇団☆新感線もなんだし、TBSだしと思い、同じタイミングで映画の公開があったので、こちらを選んだ。
勘違いしていたのは、主演とはいえ、田中麗奈がメインではないことである。
それほど出ていないじゃん。
とはいえ、見ごたえのある、好きな映画だった。
安心の重松清原作、盤石の三島有紀子作品である。
「映画っていいな、と思っていた時によく見ていた」との田中麗奈のコメントにもあるとおり、浅野忠信主演ということで、同世代の僕も楽しめた。
これくらい丁寧に人物描写があれば、情緒が著しく欠けている僕でも理解できる。
「気持ちに寄り添える余裕を持った人間にあこがれるが、自分はほど遠い」ということが分かっただけでも、見る価値があった。
劇中の田中麗奈が演じるキャラクターが苦手で、冒頭でヨガをやっているシーンなど、一瞬田中麗奈を嫌いになるほどであった。
それだけ演技がうまいのだろう、と思うようにしたし、実際そうなのだろう。
こう思うのが怖くて、「真昼の悪魔」を見ることができなかったのだ。
田中麗奈がカラオケで歌っているシーンだけが疑問符だったが、田中麗奈が歌うシーンが収められたこと自体を評価したいし、きっと原作にもあるのだろう。
ロビーには、田中麗奈のサインが飾られてあり、写真に収めてしまった。