予科
2017-08-30
練習が苦手である。
僕が練習するのは、本番で恥をかきたくない、ただ一心からである。
それが強いモチベーションとなり、苦行に耐えられる。
本番で恥をさらしても何ら気にならない、あるいは時間をやり過ごせばその場は耐えられる、とわかったら、練習はしない。
本番で失敗をすると礼を失する、という場合なら、練習して、迷惑をかけないようにはする。
練習を楽しむことができない。
「苦手なものを克服してやろう」ということに、楽しさを見いだせない。
できない状態から、できる状態になるための練習は、何も楽しくない。
練習を始めても身が入らないから、全く上達しない。
何かのはずみで少しの上達したとしても、その上達が維持できないこともつらい。
その段階で上級者が打ちのめされると、モチベーションは一気に失われる。
だから、だと思うが、僕は楽器が一切できない。
楽器を使いこなせるまでの膨大な時間を思うと、楽器を演奏できる喜びへの想像は無力のままかき消される。
不得手なことに取り組み、我が物とすることを実直に続けている人を、僕はただただ尊敬する。
その一方で、自分が得意とすること、例えば「甘栗の皮むき」など、いったい練習のフェーズがあったのだろうか。
もしかしたら、天賦の才だったのだろうか。