傑出
2017-07-25
ご存知の通り、僕は「正午派」である。
これも後出しジャンケン的になるが、直木三十五賞候補に選ばれた時点で、「これはもう、受賞は既定路線だな」と考えていた。
候補に選ばれた以上、受賞は間違いない、なぜなら候補に選ばれたのだから。
「正午派」としてうれしいのは、直木賞受賞よりも、直木賞受賞によってより多くの人に知られるよりも、受賞によってしばらくは佐藤正午のエッセイの露出が増えるだろう、ということだ。
ペースを守る小説家に無理強いするのは忍びないが、これは一過性のものであり、できる範囲でご対応していただければ、と思う。
文章であればこなせる巧みさを、期待することすら失礼である。
記者会見の全文が掲載され、いい時代になった。
それにしても、文春オンラインを見て驚いたのは、もし授賞式に出席することになれば、それは20年以上ぶりの上京になる、ということだ。
第一線で活躍する小説家が、20年以上東京の地を踏まず、しかも「Y」や「ジャンプ」、「5」、「アンダーリポート」、「身の上話」のようなストーリーを書いてきたのだ。
いや、それ以前に、仕事の用事ですら上京していないことに、矜持を感じる。
Date of Birthについてもしかり、自分も地元にとどまったままで望む仕事ができればと思う。
小説や音楽づくりのような仕事において、東京を離れていることによるデメリットがないとは決して言えないが、それを乗り越えているのだから、すごい。
機会にさえ恵まれていれば、僕の今の仕事でもテレワークで十分なはずだが、それよりもまだ、僕自身の意向の方が強い。
なお、オリコンの記事で、芥川龍之介賞を受賞した沼田真佑と並べて「2人は初受賞」とあるのは、津田伸一を意図した表現だと、僕はほくそ笑むが、考えすぎかも。