呼吸
2016-11-22
代々木の小田急踏切が開いたものの、前を行く高齢男性がゆっくりと歩いている。
すぐに次の列車が来るサイレンが鳴り、車道の遮断棒が降りてしまった。
「このままでは、この高齢男性が渡る前にバーが下りてしまうのではないか」と、僕は男性の後ろにつく。
やがて、歩道のバーも下りてくる。
「あっ、頭に当たる」と思い、声をかけた方がいいのか、棒を支えた方がいいのか、迷ったつかの間、バーが当たりそうになる寸前に男性は踏切を抜けた。
踏切内に取り残されたのは僕の方で、バーを前に押して踏切を脱出した。
なんだか、伊丹十三映画を見ているようなシーンだった。