取違
2013-02-22
下りエスカレーターに乗る。
降り口のあたりで人がたまっている。
見ると、ベビーカーを後ろ向きにエスカレーターに乗せ、下から支える形で運搬していた人が、降り口で方向転換しようとしているようだ。
その後ろから来た人々が行き場を失い、人が滞留してしまっているのだ。
このままでは、エスカレーターが進み人ごみにぶつかってしまう。
かといって、後ろにも人が大勢いるので、後ろに戻ることもままならない。
その場所から離れようと、降り口にたまっている人々が方向転換中のベビーカーのわきを抜けようとする。
誰かが、ベビーカーの車輪に足を引っかけた。
故意でないとはいえ、ベビーカーをゆさぶるとは、実に危ない。
足をぶつけた人に、非難の目が集まった…。
そう思ったけれど、所詮危険なエスカレーターに乗せるような物としてしか考えていないのだ。
きっと、それは大事なものではないのだろう。
大事なものではないベビーカーは時間をたっぷり使い方向転換に成功し、我々は倒れこんで圧死することもなく、無事にそれぞれの目的地へと向かうことができた。
大事でないものの行方は知らない。