苛責
2012-08-30
青山真治 著「ユリイカ」を読み終える。
映画「ユリイカ」がノベライズ化されていることは、僕にとってはとてもありがたい。
映画の内容をほとんど忘れているが、3時間半以上も映画を見直す気にはどうしてもなれなかったからだ。
作品中、著者は門司の地理について次のように描写している。
海と山に挟まれ、狭い斜面にしがみつくように人が住む町がある。海といっても視界はすぐに向い側の本州に阻まれた海峡であり、山といっても越えればすぐにまた海があった。地図で見れば卑小な陰茎を思わせるような半島だった。
企救半島を「卑小な陰茎」にたとえるところがすごい。
多くの半島はそのようなたとえになりそうだが、だったら、佐田岬半島はどうなるのか。
青山真治は門司出身である。
自分の生まれ育った地をこのように卑下して表現する人は少ないと思う。
しかし、故郷をこのように表現したくなるのが、実は北九州市出身者のメンタリティである。
そして、自分の出身地をこのように言われてしまった方も、つまり小倉出身である僕も、「言い得て妙だな」と思ってしまう。
腹の立つことなど、ない。
ただ、これはあくまでも、北九州市出身者同士のやりとりだからである。
よその人が、事情も理解していないまま、北九州市出身であることを理由にして人をからかうようなことはしない方がいい、と注意喚起したい。
余計なトラブルには巻き込まれたくないでしょ。
僕もたった1度だけ、北九州市出身だからということで根拠のない偏見を含んだ言葉を言われ、大人げなく激昂したことがある。
「いつか、くらすけの」とは(言い慣れていないので)言わなかったが、そういう精神の傍流にあることを思い知らされた。