途切
2012-07-15
外で飲んだ帰り、よせばいいのにミュージックストアに立ち寄り、フィッシュマンズの新しいCD(正確にはFISHMANS+の「A Piece of Future」)が発売されているのを知り、試聴し、曲を飛ばし、6曲目を聴いて動けなくなる。
完全に酔っているせいだが、目がかすみ、ただただ聞き入ってしまう。
この時初めて、店の試聴機は一定時間が来ると止まってしまう、ということを知った。
これまで、そんなに熱心に試聴機で音楽を聴いたことがなかったのだ。
過去をむやみに有り難がることを、僕はできるだけ避けようとする。
たとえ優れた作品であるとしても、受け手としてはその作品を同時代に体験した人たちの感覚にはかなわない。
また、僕らが過去を絶賛してしまうと、同時代を生きる人たちの才能に機会が回りにくくなると考えるからだ。
しかし、失われたものに対する思いというものは特殊で、理性で押さえようと思っても押さえきれない何かがある。
僕の場合、iTunesでアルバム単位のランダム再生をしていると、フィッシュマンズの後にICEという順番で再生されることが頻繁に起きる(フィッシュマンズとICEの音源を多く取り込んでいるからだ)。
このコンボに入ると呆然とし、しばらく何も手につかなくなってしまう。
当時から聞いているので、フィッシュマンズとICEには同時代性を感じている。
そして、今後決して新曲が出ることはない、という事実に打ちのめされる。
思いがあふれ出しそうになったとはいえ、その場でCDを買うことはなかった。
やはり、酔っているときの衝動的な行動は怖いからである。