訓導
2012-02-04
酒を飲まないで酒の席にいると、どういう風景が広がっているのだろう。
おそらく、かなりの醜態が繰り広げられているのを、冷静な気持ちで見ることになるはずだ。
「なるはずだ」と書いたのは、僕がその立場にいたことがほぼ皆無だからだ。
酒の席が設けられれば、事情が許されるかぎり、必ず酒をいただく。
僕は自分に甘いので、たいていの事情は許されることになる。
酒を飲めば、醜態をさらけ出す。
そのことに気づくことはない。
酒の席で酒を飲まないことが、わずかに1度だけあった。
その時は、車を運転して帰る必要があり、飲酒を断ったのだ。
福岡県出身であっても、車を運転するために飲酒を我慢する人はいる、というか県民すべてがそうだ。
子供のころ、大人たちが酒を飲んで騒いでいるのを見て、「早く酒が飲めるようになりたい」と感じた。
陰気な性格である僕は、酒の力を借りれば容易に陽気になれると考えたのだ。
一方で、僕の妹は今も酒をほとんど飲まない。
飲めない体質でもないのに飲まないのは、僕を含めた酔っ払い親族たちの醜態を目の当たりにし、「自分はこうはならない」と決めているからに違いない。
同じものを見ても、違う結論が導き出されることもある。