曇天の続き

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2011-10-14 Fri.

航跡

2011-10-14

関門海峡フェリーが、11月30日をもって運航休止されることになった。

関門海峡フェリーとは、下関の彦島と小倉の日明埠頭をわずか13分で結ぶ海上航路である。
今は1隻のみの運航だが、以前は2隻で運航されており、20分間隔で出航していた。
九州と本州を最短で結ぶところから、「海のバイパス」との異名も持っていた。

小倉に住んでいたとき、僕は父の車に乗せられ、このフェリーを何度も利用し彦島へ行った。
また、フェリーの発着場のすぐ近くで釣りをしていたので、フェリーを行き交う姿を頻繁に見ていた。

「雑誌の発売日がずれる」という概念を首都圏の人に伝えるのは実に困難なことだが、あえて説明すると、小倉では「週刊少年ジャンプ」が火曜に発売されていたにもかかわらず、フェリー乗り場の売店では「ジャンプ」を月曜に売っていた。
おそらく、その売店には商品が本州からフェリーで輸送されていたからだと思われる。
フェリー乗り場は住宅地から離れたところにあったが、1日でも早く読みたい者はそこまで買いに行っていた。

便利なフェリーであったが、役目を終えたのだろう。
いくつもの思い出があり、休止は残念なことではあるが、仕方がない。

しかし、話はこれだけでは終わらない。
関門海峡フェリーが休止されることにより、日明埠頭を発着する旅客フェリーがなくなってしまうことになる。

その昔、日明埠頭からは、関西方面に向かう阪九フェリーと、東京へ向かうオーシャン東九フェリーが運航されていた。
岸壁で釣りをしながら東京へ向かう大型フェリーを見送り、自分の街と東京がフェリーの航路で結ばれているのだ、と感じていた。
カートレイン九州が東小倉駅から汐留まで運行されていた時にも、同様のことを感じていた。

阪九フェリーとオーシャン東九フェリーは、北九州港の発着を新門司へと移した。
混雑する関門海峡を避けるための策である。
以降、日明埠頭では関門海峡フェリーだけが運行していたのだが、それも12月からはなくなってしまう。

ちなみに、関門海峡フェリーの航路をなぞるようにして、第二関門橋の構想がある、いやあったというべきだろうか。
「若戸トンネル」ですらすんなりとはできなかったところを見ると、「フェリーがなくなったから、構想を再燃させよう」というようなことになるのは、もう少し先になるのだろう。

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