路線
つい最近、「晴れ、ときどき殺人」という映画を観た。
井筒和幸監督、渡辺典子主演。
それはそうだろう、みたいな結末である。
その映画に、太川陽介が出演していた。
太川陽介といえば、俳優であり歌手でありルイルイであるが、今となっては藤吉久美子の夫で、途中下車しているというイメージが定着してしまった。
なので、太川陽介が演技をしている姿を見ると、いわれのない違和感を持ってしまう。
さて、その太川陽介が出る「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」が好きで、僕はよく見ている。
この番組は、太川陽介と蛭子能収、そして各回ゲストの「マドンナ」の3人が、3泊4日で路線バスだけを乗り継ぎ目的地を目指す、という企画である。
「路線バスで県境を越えるのは難しい」「コミュニティバスが隆盛している」という事実を知ったのは、この番組からである。
その番組が、今日放送された。
これまで春秋の周期だったのが7月末に放送されるのは、誰かのスケジュールがあったのかも知れない。
今回は、前回の目的地であった出雲から、枕崎を目指すという行程。
これは間違いなく北九州を通ることになる、と予想される。
実際、関門国道トンネルの人道を歩いてわたり、めかりから九州に上陸した。
これまでの番組では僕が詳しくない土地が取り上げられていたのでわからなかったが、この番組で地元が取り上げるとよくわかったのは、経路選択の難しさである。
地元のバス事情を知っていると、さて何番のバスに乗ればいいかといろいろな案が思いつき、どれを選択するか非常に悩み、あれやこれやと言いたくなる。
今回の番組では、まず門司港駅まで歩いた。
めかり絶景バスが来れば奇跡だが、そんなわけもないので、ここは歩くのが正解だと僕も思う。
次に、門司港駅でバスセンターの有無を尋ね、そんなものはここにはないと言われ、一行は小倉の砂津を目指した。
地元の方の愛想のない(ように画面からは見える)様子に、気質的なものを感じるのだが、たぶんそんなことを言っていたら、この番組で感じるストレスに耐えられないであろう。
旧電車通りを進む路線バスに乗ると、目的地周辺で観覧車がお出迎え。
そう、あれに見えるが「チャチャタウン」である。
TVで砂津バスセンターを見るとは、思ってもみなかった。
ちなみに、読み方は「すなつ」が正しい、はず。
砂津バスセンターで次の戦略をバス会社の案内所の方に相談し、中年女性が営業所の社員に丸投げする(ようにも見える)様などは、実に見所があった。
営業所の社員との相談の末、経路は田川快速を使って田川にある後藤寺へ、そこから福岡天神を目指す、ということになった。
おお、これぞ僕が子供のころ夢見ていた、「太川陽介 in 田川」である。
一行は田川快速に乗り、国道322号線を経由し、後藤寺へと向かう。
そして…。
後藤寺での乗り換えはオールカット。
天神行きのバスの姿も映らない。
…あまり言いたくはないが、もしかしたら後藤寺ではカメラを回さなかったのかも知れない。
後藤寺から天神行きのバスは路線バスである、という判定も、うーん、そうか。
天神からも紆余曲折があったが、何とか福岡県を抜けた。
そして、今回も無事、枕崎へ到達。
よかった、よかった。
それにしても興ざめなのは、福岡のバス会社の対応である。
「この先に行く路線バスはありません」と言いきる感じ、まさにそうだった、と昔を思い出す。
なお、確か甘木のバスセンター辺りで、ミッチョンが「ここのトイレはきれいでよかった」と言うのを僕は聞き逃さなかった。
もし、後藤寺バスセンターのトイレと比較しての発言であるならば、全く同意する。
僕は、20年以上前の段階で、あそこにあるトイレに入れなかった。