愛唱
以前気にしていた原田佳奈は、八幡西区の出身である。
それに気づくことができたのは、NHK北九州放送局開局80周年記念特別番組「きたきゅうのうた」を見たからだ。
この番組は、北九州に関する歌を広く募集し、その選考コンテストの模様を公開録画したもの。
何より、木曜の午後3時台という、多くの人が見づらい時間帯に全国放送されたことが救いである。
選考会場は、「アルモニーサンク北九州ソレイユホール」。
この名前を、僕はいつまで経っても覚えられない。
おそらく、タクシーで行き先を告げても、運転手に通じない場合がある、と考える(「どこちね?」と運転手に聞かれたら、「厚生年金」って言おう)。
ゲスト審査員は、大内義昭、原田佳奈、中村有志という地元ゆかりゲストに加えて、ジェロ。
ジェロがなぜ呼ばれたのかについて、「小倉の北方に競馬場があるんですけれど、そのとなりで生まれたから」と中村有志が説明していたが、いったいどういうつもりでこの冗談を成立させようとしていたのか、ぜひともうかがってみたい。
さて、100曲を超える応募があったなか、7組が決勝に出場。
どの曲もすばらしいものであったが、僕はその中でも「北九工場萌えNight」や「テリトリー巡回のうた」はなかなか聞き応えがあったように思う。
優勝は、冨永裕輔氏の「ひまわりの花」。
これが、詞、曲、声のすべてにおいて、ずば抜けてクオリティが高かった。
「プロフェッショナルがこのようなコンテストに応募するものなのだろうか」という懸念が一蹴され、番組が安全に成立し、ほっと胸をなで下ろす。
さて、この「きたきゅう」という呼称。
地元出身として強く主張したいのだが、この呼び方は、他の地域の人が北九州についてあまりいい印象を持たない場合に使う呼称であった。
なので、地元の人間がこの呼び方を聴くと、少々不愉快になったものだった。
数年前にNHKが「北九さん」というキャラクターを出してきたのを知り、ちょっと驚いた。
それが今となっては定着したのか、Twitterのハッシュタグでも「#ktq」というのをつけて、地元のことを報じているのを目にすることがある。
だから、もしかしたら「今はアリかも」なのかもしれない、責任はとれないけれど。
少なくとも、僕はまだ慣れないし、「あんた、キタキューね?」などとは危険すぎて言えない。
あるいは、小倉以外だと、また印象が違うのかな。
今更だけど、原田佳奈のキャリアはそれほどまずくはないように思う。