曇天の続き

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2011-02-15 Tue.

療法

2011-02-15

今冬の国内における気象状況に比べれば大雪とは言えないような降雪で大騒ぎしたり、アメリカの音楽賞で盛り上がったりしている中、僕はそれらと全く関係ないことで苦しんでいた。
突然の腰痛に。

三連休で特に何をした、と言うわけでもないが、月曜の朝目覚めたら、腰に違和感があった。
洗面所で上体をかがめることができない。
しばらくすると、ますます腰が痛くなる。
出かける頃には、痛みでまともに歩けない。

早めに帰宅することにする。

とにかく、階段の上り下りができず、駅ではエレベータを使う。
電車内では、立っているのもつらいし、座っているのもつらい。
下車する駅に到着し、立ち上がろうとしても、痛みで容易に立ち上がれない。
激痛にこらえて立ち上がり、電車から降りることはできたが、プラットフォームでしばらく立ちつくしていた。

ドラッグストアで冷感湿布を買い、自宅までタクシーに乗ることにする。
痛みで意識が遠のく中、気さくな運転手が、
「どこかけがをしましたか、歩き方がおかしいですよ」
「腰ですか、昨日何かしましたか」
「重いものを持ち上げましたか」
(こちらの意志とは関係なく、左折)
「変にひねったりしたんじゃないですか」
「ここはどちらに曲がりますか、どちらにでも曲がります、言うとおりにしますから」
「病院に行きましたか」
「私は、コルセットをして、治るまで3か月かかりました」
「無理してでも病院に行った方がいいですよ」
「あの病院は混んでますね」
「あの病院は行ってはいけません」
「他に、どこか病院を知っていますか」
「だめだめ、マッサージなんか」
「ここを左でしたっけ。ああ右ね」
「とにかく腰を温めて」
「このアパート、新しくできたな」
「あの階段を上るのが危ないんだよ」
「絶対に病院に行った方がいいですよ」
と話していたような気がする。
「腰を温めて、無理をしてでも病院に行って」と治療方針を明確に話していたから、おそらく医師免許を持っている運転手なのだろう。
いや、道を知らないのだから、医師免許を持っている白タクなのかもしれない。
そしてまた一つ、選ばないタクシー会社が増えてしまった。

5年前に初めて急性腰痛症を患った。
そのとき、医師に言われたことは、「患部を冷やして安静に。痛いときに病院に来ることはありません。悪化するかもしれませんから」。
今回は、その通りにすることにする。
まず信じるのは専門家、次に頼りにするのはウェブ。
身近な人の出番は、ずっと後。

急性腰痛症は、自然気胸と同様、その苦しみが伝わりづらい疾患の一つである。
自分の経験したことのない苦しみについて、想像力が欠落している者が多いことの証拠だ。
そして、こういう種類の病気について、第三者は本当に適当なことばかりを言い抜かす。
原千晶に言わせれば、「他人の事に関心がない人ってキライ」ということなのだろう。

軽薄な人間のリストを更新する一方で、医師の言うことだけを聞いて早く治すに限る。

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