曇天の続き

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2010-12-29 Wed.

法悦

2010-12-29

先日、電車で、浜松町駅から乗ってきた2人組の男子大学生に遭遇した。
2人で他人の陰口を延々と言い合っていたが、やがて次のような話になった。

「「トムとジェリー」って何?」
「えっ、「トムとジェリー」知らないスか? まじスか?」

陰口ばかり言うクソみたいな連中の行為はさておき、「トムとジェリー」を知らない一方の学生を、僕は二重の意味で深く憐れんだ。
1つは、「トムとジェリー」という面白いアニメーションをまだ知らないことについて。
もう1つは、たとえ上原ひろみの「The Tom and Jerry Show」を聞いたところで、「トムとジェリー」を知っている人より1つ損をするに違いないということについて。

という前置きを踏まえて、ついに今年、上原ひろみのライブに初めて行ってきた。

まずは、アルバムをパワープレイしながら、上原ひろみの軌跡を描いた本「サマーレインの彼方」で予習。
文体に気味の悪さを感じてしまい読み切れるか不安だったが、ひとまず読了。

その本によると、彼女は高校生の頃、昼休みになると高校にあるピアノを毎日弾いていた。
また、生徒たちを集めてはリードしながらスパルタで特訓し、演奏会などに臨んだのだとか。

冷めたことを言うようだが、こういうことが許されるのは、彼女ほどの飛び抜けた才能の持ち主だけである、と僕は思う。
「私も真似しよう」とか思ってしまう花屋の店先に並んだいろんな凡人が増えると、振り回される周囲の者がひどく迷惑することだろう。
誰も言わないだけで、内心みんな思っている。
今のままで十分輝いているから、もっと謙虚にいこうよ。
ゆめゆめ勘違いしないよう、これは自戒である。

また、法政大学に在学中、彼女はラーメン屋でアルバイトをしていたとか。
場所は、おそらく「一圓」××店であろう。
個人的なことだが、僕は同時期に近所に住んでおり、吉祥寺にある「一圓」には頻繁に行っていた。
残念ながら当時彼女がバイトしていた店には行ったことがないが、その店の前は自転車でよく通過していた。

予習を終えて、いよいよライブ当日。

彼女が愛してやまないラーメンを食べようと、目黒にあるという「丸畦ラーメン」に行こうとする。
しかしながら、ウェブで確認したところ、どうやら目黒の店は閉まっている模様。
そこで、以前から行きたかった「蒙古タンメン中本」新宿店へ。
この後に支障が出てはいけないので、辛さ控えめの「味噌タンメン」をいただく。
世の中にはいろいろなラーメンがある。

大江戸線に乗り、西新宿五丁目駅で下車。
不安定な気分にさせる道幅の山手通りを歩き、西新宿ジャンクションのえげつない急坂を眼前に嘆息する。

初台の会場に到着。
すごく若い人、というのはほとんどいないが、それ以外は幅広い年代の客層。

ライブ開始。
アンコールを含めて2時間30分ほど。
本当にあっという間だったけど、十分堪能した。
「Viva! Vegas」で、「テントさんのスロットを彷彿させる」という名言が誕生。
それにしても、咳き込んだり、鼻をすすったり、関節を鳴らしたりすることが容認されているのは、意外だった。

新宿のごちゃごちゃをスルーしたかったので、初台から小川町へ快適移動。
小川町駅から歩いて、「良心的な店 あさひ」の近傍を通過し、インドの山奥電…「天下一品」神田店へ。
年末の典型的な酔客に絡まれつつ(「あれ見て来たんだろ」)、唐揚定食(こってり)をいただく。
世の中にはいろいろなラーメンがある。

帰路の電車内で、ダブル・トウループを目撃する。

ライブが終わって日は経ったが、今も頭の中でピアノの音が鳴り響いている。
この感じがしばらく続けばいいのだが、正月の酒でこの記憶はすべて洗い流されることだろう。
機会があればまた行けばよい、今度はバンドで聴きたい。

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