巷説
うわさ話に慣れていないし、あまり好きではない。
人脈に乏しいので、口コミ情報は一切入ってこない。
だから、そういう話に対する免疫がついていない。
たまにダークな情報をつかむと、すぐに信じてしまう。
生涯で、大きなガセネタを3つつかまされたことがある。
1つ目は、1992年頃。
「大黒摩季 存在しない説」である。
彼女がマスメディアに姿を現さないのは実際には存在しないからであって、歌声はコンピュータで合成している、という有名なうそ話。
もっともらしいエピソードもセットになっていた気がする。
実際多くの人がその話を信じ、僕も多くの人に吹聴した。
何年か経って、大黒摩季に対する所属事務所の陰湿な扱いが露呈し、事の真相が何となくわかった気になる。
ちなみに、大黒摩季はSEARIZEROCK09に出る予定だったが、開催が順延になったため、本当に出るのか未定。
だから、今のところ、本当に存在するかは不明。
2つ目は、2000年代初頭。
「某歌手 HIVに感染している説」である(そのような事実はない)。
これは、普及初期段階のインターネットによる情報と口コミによる情報とで、僕の元にダブルに来たはずである。
携帯電話にはチェーンメールというのも来た。
今でも、いわゆる「教えてサイト」にその質問が載っているのが散見される(「その情報は正しい」という解答が載っている場合もある)。
もちろん、何度も強調するがそのような事実はなく、うわさの人物は今でもお元気である。
「実際はキャリアではあるが、発症してないだけ」、という意見もあるかもしれないが、僕にはさすがにそこまではわからない。
でも、やっぱりデマの可能性が極めて高い。
3つ目は、2002年3月。
「信号機の黄色がピンクに変わる説」である。
出所ははっきりしており、たった1つである。
それは、「クイック・ジャパン Vol.41」(太田出版)のP23「国際照明機委員会(CIE)によると」というタイトルの文章。
「もうご存知の方も多いとは思いますが、3年後、2005年の1月から、交通信号機の黄色がピンク色に変わるのを知っていますか?」とある。
まったく、たまに「クイック・ジャパン」を買うと、こんなことになる。
もちろん、この記事だけで信じるほどおぼこくない(※)。
そのページの左隅には、2001年12月の新聞記事がそのまま掲載されており、その記事が「信号機がピンクに 4年後の導入めざし検討中」という題名だったのが、決定的だった。
この話は2人だけに披露したが、全然信用してもらえなかった。
そのうち話に飽きてしまい、しばらく忘れていた。
それから7年経ったけど、この話を他の人から聞いたことがないし、実際に信号機が変わったという話も聞かない。
今思うと、新聞記事のキャプションに「昨年12月の新聞(A紙)より」(原文ママ)と書いてあるのが、信じてしまった1番の理由だったように考える。
改めてよく読むと、最後に「文・板尾創路」と署名してあった、やれやれ…。
なお、一時期ウェブに出回っていた「原千晶 女医説」には一切引っかからなかった。
(※)「おぼこい」は辞書を引く限り差別用語であるような気がするが、あのテレビ朝日でこの言葉が使われている過去のドラマが放送されていたので、たぶん使っても大丈夫なのだろう。