荒波
小倉出身である。
こう言うと、かなり年配の人にこんなことに言われたことがある。
「それじゃあ、映画の「無法松の一生」で有名なあの小倉ですか?」
この質問には一応「そうです」と答えることにしている。
しかし、僕は「無法松の一生」という映画を見たことがない。
それどころか、つい最近まで「無法松の一生」は火野葦平が書いたものと思っていたし、「無法松の一生」というタイトルの歌を坂本冬美の「あばれ太鼓」を完全に取り違えていた。
だいたい、本当に有名なんだろうか。
(火野葦平が書いた小説は「糞尿譚」、「麦と兵隊」、「花と竜」など。「無法松の一生」を歌ったのはもちろん村田英雄先生。)
ところで、村田御大が歌う「無法松の一生」で、どうにも納得できない部分がある。
相変わらずJASRACの承諾を得ていないので、歌詞を引用することは故意犯になるが、とりあえずこの部分。
小倉生まれで 玄海育ち
口も荒いが 気も荒い
自分の性格を考えると2行目も十分疑問なのだが、問題なのは1行目。
小倉は玄海(玄界灘)には面していない。
小倉が面しているのは、響灘である。
玄界灘は、小倉が面している響灘よりももっと西の方にある。
仮に小倉育ちだとしたら、それは「玄海育ち」ではなく「響灘育ち」になるはずである。
詞が正しいのならば、この詞で歌われている人は小倉よりもっと西で育ったことになる。
この後に続く詞の中で、
玄海灘の 風うけて
ばちがはげしく 右左
とあるが、上記の理由でこちらも納得できない。
同様に「あばれ太鼓」や「北九州市歌」の方も…、まあいいや。
もちろん、「いざゆけ若鷹軍団」は正しい。
しかし、映画1つとっても、小倉のイメージってどんなものかな、と思う。
先日見た映画の中でも、プロフェッショナルなスリ集団が小倉駅でスリ行為をする、というくだりがあった。
小倉のイメージをこれ以上悪くしたくないので、その映画のタイトルは絶対に言わないでおこうと思う。