惜別
2009-03-13
僕が初めて乗ったブルートレインは、「はやぶさ」である。
「はやぶさ」とは九州と東京を結ぶ寝台特急列車である。
僕が乗った当時は、西鹿児島駅から東京駅までを結んでいた。
当時、日本最長距離を走る寝台特急であった。
小学2年、もしくは3年の頃の冬。
「いっそ」のじいさんに連れられて、鹿児島県出水市に鶴を見に行った。
確か、博多駅から特急「有明」に乗ったはずである。
「出水市に鶴を見に行く」とはどういうことなのか、ピンとこない人もいると思う。
実際行くと、その光景は圧巻である。
毎冬、尋常じゃない数の鶴が出水市に飛来し、そこで越冬するのである。
その数、優に1万羽を超える。
その出水市から小倉に戻るために乗った列車が「はやぶさ」であった。
九州島内であれば、「立席特急券」という切符で寝台列車に乗ることができたのだ。
「いっそ」のじいさんの粋なはからい、というか、単にじいさんが鉄道ファンであっただけのことだ。
当時、子供だった僕は、ブルートレインに乗れるということで、大変興奮した。
今でもそのことはよく覚えている。
しかし、それ以来、ブルートレインに乗ったことは1回しかない。
その1回も、弘前駅から東能代駅まで「あけぼの」に乗っただけである。
寝台特急で寝台を利用して、長距離を移動したことはない。
小倉から本州を目指すときも、飛行機か新幹線を利用するのがほとんどで、寝台特急を利用することはなかった。
「はやぶさ」は紆余曲折を経て、「富士」と一緒になり、その「はやぶさ・富士」も今日で終わりである。
1度くらい寝台特急で帰省すればよかった。
実に悔やまれる。