丹念
2009-01-06
僕は、無類の甘栗好きである。
と書いて、本当に「無類」という言葉を遣っていいものかわからなかったので、辞書を引いてみる。
…言い直した方が良さそうだ。
僕は、比較的甘栗好きである。
なぜ甘栗が好きになったか。
それは、母方の祖父が甘栗を頻繁に買ってくれたからである。
月に1度くらいは必ず買ってくれた。
ところで、先日の帰省の際、祖父に会いに行った。
祖父は、以前は歩けないくらい足腰が弱っていたが、今ではひょこひょこと歩いている。
何せ、白かった髪の毛の根元が黒くなっているのだ。
恐るべし、人間の生命力。
その祖父が、「リハビリ」と称してやっていることがある。
それは、新聞に挟まれているチラシで、箱を作ることだ。
箱と言っても、たいしたものではない。
折り紙の要領で、簡単な箱をこしらえているだけだ。
毎日他にやることがないようで、テーブルの上に100個くらいの箱が畳んでおいてあった。
祖父曰く、「箱を作るはいいが、使い道がない。これをおまえにやるから、むいた甘栗の皮を入れるのに使ってくれ」
涙を隠して、チラシでできた祖父手製の箱を受け取ったのは言うまでもない。
ちなみに、あのジャイアンも甘栗が好きである。
かあちゃんが「おまえの好物」と言って甘栗を買ってきた回をアニメで見たことがある。
何の回かは忘れたが、そのことだけが印象に残っている。