曇天の続き

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2001-10-04 Thu.

再読

2001-10-04

数日前,吉本ばななの「白河夜船」を5年ぶりに読み返した.

5年前に読んだときは,主人公が再生していく様がよかったんだけど,今読んでみると気になるところは少し違う.眠りに浸食されつつある自分に恐怖を感じ,何とかしてそこから脱したいと感じている主人公に,通りすがりの見知らぬ女の子が突然「今から駅に行って『an』を買って来なさい,でもって働きなさい」と半ば霊がかったように言う.でも,主人公は「今のは特別なことなんだ」とはわかっていながら,彼女のアドバイスを素直においそれとは受け入れなくて,駅なんか行かず家に帰って寝てしまう.普通なら特殊な出来事が起きたらいかにもそこで状況が転換するようなものなのに,主人公は少しひねくれていて簡単にはのっかろうとしない(読んでない人,よくわかんない文章ですみません.読んだ人,「そりゃ違うよ」なんて言わないでくれ.何処を言いたいかはわかってくれるはず).

僕も周りの出来事に打ちのめされて,ここで人生が変わったな,なんて後から思うことが結構多いんだけど,かと言って,そんなに簡単にはのらないよーという憎たらしいスタンスで人生を過ごしている.吉本ばななは超常現象的シーンや感覚で片づけようとするシーンが多いように感じられて賛同できないところもあるんだけど,「白河夜船」の感覚はすごく頷ける.自分の感覚を信じてやってる方が,やっぱり楽しい.

「白河夜船」は自宅のどこかにあるはずだけど、紛失。 吉本ばななは今は読んでない。 「白河夜船」にはならないけど、インソムニアは続いている。

(2008-03-22)

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