ものは試し

東京完乗いらっしゃいませ

2018-01-04 / Last Modified: 2020-09-22 13:36:40

2017年2月 土曜

その日、僕は西船橋駅にいた。

複雑な構造をした、暗い駅である。
改札内には商業施設があり、外を見ると「2F フィリピン 3F ロシア 4F 日本」と書かれた看板がビルに掲げられている。
あのビルは、東武ワールドスクエアみたいなものなのだろうか。

2016年までにかけて、東京23区内の鉄道路線にすべて乗ったことにしてしまった。
やることがなくなった一方で、路線図を見てみると、未乗路線は国内はおろか、東京近郊にも多く残っている。
「国内を知らずに、外国に行って何が楽しいか」というのが、適応能力が著し低い臆病な僕の信条である。
未乗路線が残っているのは気持ちが悪い。

さしあたり、2017年の目標を、東京都内の未乗路線を乗りつぶすことに定めた。
なお、この目標を「抱負」として、年頭に披露する機会があったのだが、聴衆の目は冷たかった。
おそらく、みんな東京の隅々まで知っているのだろう。

それで、東京都内の完乗を目指すのに、なぜ西船橋にいるのかというと、今回の企画の趣旨とは少し離れてしまう。
事情があって千葉駅まで行かなければならず、その機会を使って千葉駅周辺の未乗路線をやっつけてしまおうと思う。
これはその時の記録である。

総武緩行線に乗り、千葉方面を目指す。
これまで、この辺を通ったときは、極めて憂鬱な気持ちでいるか、極めて疲れていて眠りこんでいるかしかなかった。
改めて車窓を眺めると、幕張本郷あたりに、おそらく住民には面倒な留置線があり、稲毛が都会であることを知った。

約20年ぶりの、千葉駅。
暗く天井の低かった駅構内の印象は一変した。
まるで、新宿駅新南口のようである。
多方面の路線を持っている駅ならではの列車発車案内はとても…、わかりにくい。
元々、路線が入り乱れているから仕方ない。

千葉駅から、外房線に乗車する。
発車メロディという文化までは、まだ千葉駅に到達していないようだ。

本千葉駅で下車。
久しぶりに、電車特定区間外に出たようで、IC運賃が気に食わない。

10分ほど歩き、県庁前駅に到着。
千葉都市モノレールの運賃に悶絶するも、フリーきっぷでやり過ごすことにする。

千葉のモノレールと言えば、「バタアシ金魚」である。
23年前に映画で見て以来、これが初めての千葉都市モノレールである。

県庁前駅を発車。
軌道は、見事に仰々しい建造物である。
千葉駅を過ぎ、千葉みなと駅に到着。
風が強い、駅前に何もない、という、京葉線の駅を評するにうってつけの感想を持つ。

千葉みなと駅から引き返す。
懸垂式モノレールであるため、乗り場が低く、転落の恐れが少ない。
何なら、歩いて反対側のホームに行きたくなるくらいだ(行ってはならない)。
行政はモノレールを資産として構築したのだろうが、今となっては立派な費用である。
「金持ち父さん 貧乏父さん」で明快に説明されても一向に変わらないのが、地方行政、地方議会である。

千葉駅から2号線に入る。
道路上を走る懸垂式モノレールからの景色はとても楽しい。
高度が低く、眼下の車の、車内の様子すらよく見える。
そのうち、道路上を離れ、2本足で立つレッサーパンダ一族の気配を感じ、都賀駅で総武本線を壮大に超える。

千城台駅に到着。
ここに地終わる、という雰囲気である。
近くに東京情報大学なるものがあるそうだが、学生はヤマダ電機でガジェットを購入するのだろうか。

モノレールで千葉駅にひき戻る。
しばらく駅前を散歩。
千葉そごう前で、モノレールのポイントが変わるさまを観察し、駅前の「塚本總業」なる建物を見て、千葉の独自文化に思いをはせる。
京成千葉駅から京成千葉線に乗る。
新京成車両の列車が千葉中央止まりだったのでいったん降り、千原線の列車に乗り込む。

千原線は複線仕様で整備されているものの、線路は単線でしか引かれていない。
プラットフォームまで2面用意しているのだが、何か事情があるのだろう。
資産と思って作ったものが…。

15分ほどで、車窓にイオンが見えてくる。
広大な駐車場を完備したショッピングセンターである。
人民はどんなに穏やかな夢を描いていても、その夢はイオンに吸収されそうである。

ちはら台駅に到着。
ここに地終わる、という雰囲気である。
下車はしたものの、知識がないので、特に見るポイントも分からず、来た列車で引き返すことにする。

そのまま京成千葉線に直通する。
京成千葉線に乗るのも初めてで、住宅地をすり抜けていく列車は興味深い。
カーブが多く、およそ通勤路線とは言えないのだろう。

京成津田沼駅に到着。
ここから、新京成線に乗る。
高根公団、三咲、二和向台、初富、五香と、下総台地の開墾に思いをはせつつも、なじみのない駅を通過していく。

松戸駅に着いたのは、19時近く。
この時刻から自宅に帰るのは、とても気が重い。


本日の乗りつぶし
千葉都市モノレール1号線: 千葉みなと - 県庁前
千葉都市モノレール2号線: 千葉 - 千城台
京成千葉線: 京成津田沼 - 千葉中央
京成千原線: 千葉中央 - ちはら台
新京成線: 松戸 - 京成津田沼

2017年2月 土曜

その日、流山セントラルパーク駅にいた。

…一体、どこなのだろう。

とにかく、西を目指して進むことにする。
「平和台」という名がついた住宅地の中を歩く。
調べてみると、デベロッパーの社名から取った地名のようである。
見晴らしの良い、住んでもよさそうな街である、と判断しただろう、地名に「流れる」という字さえ入っていなければ。

台地のヘリを下り、市役所の脇を通り、流鉄流山駅に到着。
乗車券を自動券売機で購入する。
記憶に残っている限りでは、関東近郊でいわゆる普通乗車券を自動券売機で購入したのは、上野のモノレールを除けば、2011年7月26日に上信電鉄に乗車した時以来である。
プラットフォームのベンチには座布団が備え付けられており、「社会を明るくする運動」と書かれたタグが縫い付けられている。
雨が降りこんできた時にどうするのだろう、と暗い気持ちになる。
いろいろな思いと歴史をため込んだこの座布団がなければ、ベンチに座れるのに。

「あかぎ」というヘッドマークを付けた車両が入線してくる。
他にも「流馬」「流星」「若葉」「なの花」などという名の列車があるそうだが、それにしても「あかぎ」とは壮大である。

流山駅を出発。
やけに横揺れがする。
複線の敷地が確保されているような、いないようなで、判別がつかない。

やがて列車は、鰭ヶ崎駅に到着。
「リッキーのローカル鉄道オタク旅」によると、鰭ヶ崎駅は周辺団地からの通勤客で、にぎわった時期があったのだという。
駅前を見るとちょっと信じられないのだが、現在だけを見て決めつけてはならない、と自戒する。

にきわいがなくなった原因の1つが、近隣に設置された武蔵野線南流山駅である。
僕もそれに倣い、南流山駅から都心を目指した。


本日の乗りつぶし
流鉄流山線: 鰭ヶ崎 - 流山

2017年3月 土曜

その日、僕は北朝霞駅にいた。

武蔵野線の駅間の長さを改めてかみしめ、駅に掲示されたポスターで丸沼スキー場というものを初めて認識した。
東上線との乗換駅に似つかわしく、北朝霞駅前はそこそこの都会である。
タイミングよく「やまどり」が通過し、山梨か鎌倉か、そのあたりを目指したようだ。
現地を何時に出発したのだろう。

この日は東北新幹線で人身事故が発生し、東北新幹線などのダイヤグラムに乱れが発生していた。
僕はここから、大宮行の「むさしの号」に乗り込む。

この完乗では、貨物線を対象外としている。
しかし、気軽に乗れるとなっては無視できないのが好奇心あふれる卑しい人間の性であり、興味本位でここまで来てしまった。
もちろん、早くも後悔している。

むさしの号で大宮を目指す。
誤乗を注意喚起するアナウンスが響くが、乗客はさほど騒いではいない。
この辺の人々にとっては、大宮行など日常なのだろうか。

西浦和駅から大宮支線。
武蔵浦和から来る支線を右に確認し、地下に入り、出てみると、与野。
そうですか、としか、感想がない。

大宮駅から、一旦改札外に出て、京浜東北線で北浦和駅。
この駅に降りるのは、初めてである。
近くに浦和高校があるからか、駅のポスターでは、3月中に指定席券売機で定期券を購入するとマスクケースがもらえる、とあった。
駅前には、「こんな女でごめんなさい」という演歌の看板が立っている。
東側には少し行ったところにバスターミナル、西側には日本一長いけやき並木。
頭痛が痛くなる。

駅近くの埼玉県立近代美術館にて、カッサンドル展を見る。
僕はカッサンドルのデザインが好きで、ポスターの構図をまねて資料を作っているほどである。
誰も気づかないどころか、まねているだけで何も実装できていない。
いずれにせよ、仕事が盗作とは呼ばれない職種に就いてよかった。

北浦和から乗車し、赤羽で湘南新宿ラインに乗り換え、池袋駅。
いつものごとく、慣れない池袋駅構内で大いに迷い、西武戦の改札に到着、江古田を目指す。
練馬まで止まらない列車が江古田に止まるかが不安だったが、願いが通じて止まってくれた。

江古田から歩いて南下。
途中、突然新江古田駅の出入り口が現れる。
住宅街に溶け込む地下鉄駅のたたずまいが好きである。

歩いていると、哲学堂公園に出くわす。
東洋大学の創設者、井上円了が四聖堂を建設したのが、公園の始まりである。
きっと、東洋大学生なら、100mを疾走しながら、すべてを理解できるのだろう。
僕はそれよりも、調整池の上に立つ公団住宅が気になった。
こんなことまでして住宅供給をしなければならない時代もあったのだろう。

さらに南下し、新井薬師前。
前週に「アド街ック天国」で取り上げられたはずだが、熱いどころかまだ温まってはいなかったようだ。
西武新宿線が地下化される頃には、きっとこの辺りの様子も一変しているはずだ。


本日の乗りつぶし
武蔵野線大宮支線: 西浦和 - 与野

2017年5月 火曜

その日、僕は、新小平駅にいた。

新小平駅に来るために乗った電車内で、英会話スクールのGABAの広告を見かける。
双子のように見える男女2組が載っているが、これが工藤兄弟とFLIP-FLAPに見えてしまう。
頭のアップデートが追いついていない事実に直面する。

新小平駅のNewDaysで、「しょっつるあたりめ」なるものをビールとともに購入。
これが、味がしっかりしていて、なかなかおいしい。

トンネルのはるか彼方から列車のヘッドライトがやってくる。
「各駅停車」ではなく、「普通」の種別である「むさしの号」だ。
種別の違いを気にしているのは、乗客の中でおそらく自分だけである。
むさしの号に乗り、まずは立川を目指す。

この企画が始まって以来、ようやく初めての東京都内未乗区間。

武蔵野線から中央線に至る連絡線を通過する。
地下からせり上がると西を向いているのが、不思議な感覚だ。
途中何度かの停車を重ねて中央線に入り、国立から立川に到着。

立川から、青梅線。
車内は老年夫婦が多く、ハイキング列車の様相。
趣味が他人と一致するとはいいことなのだろう、僕はほとんど経験したことがないので、よくわからない。

列車は多摩川に沿って、高度を上げていく。
川幅が狭まり、対岸の崖が迫ってくる。

今回は、御嶽駅で下車。
以前、奥多摩の日原鍾乳洞に行ったことがあるので、青梅線は完乗している。
今回は奥多摩まで行く必要がないので安堵していたが、御嶽もなかなか遠い。

御嶽駅前のセブンイレブンでビールを買い、晴天の下、川原でビールを飲む。
川原では、大学生と思われる若者が、大きな岩を相手に、おそらくボルダリングの練習のようなことをしていた。
趣味が他人と一致するとはいいことなのだろう、僕はほとんど経験したことがないので、全くわからない。

御岳ケーブルの乗り場まではバスが出ているのだが、この日の気分がとち狂っていたのか、歩いてみることにする。
かなりの急坂に、道のり半分もいかないところで後悔する。
2人の子供を連れた家族もいたが、父親が小さい子供を背負って登っていた。
僕にはそんな重荷はないのだから、泣き言は言っていられない。

ケーブル駅に到着。
ほどなく、ケーブルカーが出発。
御岳山駅に到着したものの、目標の神社まではまだかなり歩かないといけない模様。
道中、講の石碑が多く建っている。
これを建てる金があるのなら、ぜひともエスカレータを設置してほしい、と思うのは、信心のない僕の傲慢である。

神社からの景色を確認し、すぐさま下山。
リフトとケーブルカーを乗り継ぐ。
下るケーブルカーの職員による軽快なトークが、僕の心に生えたとげを取り除く。

バスの時刻が合わないし、退屈なので、御嶽駅まで歩く。
すれ違う人にあいさつを交わし、「都内で知らない人と会釈することになるとは」と落ち込む。
駅前には「プロフェッショナル大学芋」なるものが売られていた。

青梅線に乗る。
行き同様、帰りも混んでいる。
大学生の男女2人連れが近くにいて、やりとりが耳に入ってくるのだが、女性が一方的に話し、男性が笑うだけで、そこに会話というものが見いだせない。
寄り添わない心に、虚しさが募る。

立川で、南武線に乗り換え。
この区間に乗るのは初めてで、沿線の住宅街の様子は興味深かった。
南武線沿線は、都会である。

府中本町駅で下車。
実は、初めての府中である。
王将でやき飯を食べ、大國魂神社。
ちょうどくらやみ祭の時期で、くらやみ祭が何たるかを全く知らない僕は、ふるさと府中歴史館の展示でにわか知識を得る。

京王線府中駅から、東府中まで移動。
引き返して、競馬場線で府中競馬正門前を目指す。
にわか知識で、車窓から鳥居などを確認する。

競馬開催中でない閑散とした駅から、歩いて南下する。
いかにも都会にあるという風格の高速道路高架をくぐり、周辺が落ち着いたたたずまいである是政駅に到着。
今度から、「是政に住んでいます」という人がいたら、やさしく接しよう。

ダイヤのタイミングが合わずに、15分ほど待って西武多摩川線に乗る。
発車ベルが鳴っても、改札を通過した乗客を待つ余裕のある、西武多摩川線であった。


本日の乗りつぶし
武蔵野線国立支線: 新小平 - 国立
御岳登山鉄道: 滝本 - 御岳山
南武線: 府中本町 - 立川
京王競馬場線: 東府中 - 府中競馬正門前
西武多摩川線: 武蔵境 - 是政

2017年9月 土曜

その日、僕は国分寺駅にいた。

前回の御岳山から、すっかり時間が空いてしまった。
5月以降、激烈に忙しく、それで体調を崩してしまい、そのうちに夏になり、多摩地域に行くのがおっくうになってしまった。

インターバルの期間中に、この取り組みのタイトルを「東京完乗いらっしゃいませ」とすることに決めた。

何と言っても、今回の行程は実に大掛かりである。

スケジュールの都合上、年内に終わらせるために、少ない回数でこの取り組みを終わらせたい。
一方で、都外であっても、未乗路線の近くまで来たら、後のことを考え乗っておきたい(「後のこと」とは何なのか、本人にもよくわからないが、とにかく乗っておいた方が後悔しない)。
強欲と怠惰が合わさると、行程はおのずと「強行軍」になる。
「時間当たりの取れ高は決まっている」というのが僕の現場での口癖だが、取れ高の最大限は見誤らずにしっかり取っておきたい。

国分寺駅から、まずは、西武多摩湖線を片付ける。
この辺りは、東京で最も複雑な路線図となる地域の1つである。
僕はこの辺に縁遠いこともあり、何も見ずに路線図を書くことができない。

国分寺駅からは、バス専用道としばらく並行する。
一橋学園の構内踏切に目を見張り、「パティシエなるなら国際パティシエ調理師専門学校」と確認し、萩山駅に到着。

萩山からどっちの方向に乗っていいかわからず、改めて路線図を見直し、西武拝島線を上り方面に乗ればいいとわかる。
拝島線の列車で小平に到着すると、ちょうど新宿線の下りがやってきた。
先ほど萩山でまごついた遅れを取り戻すため、跨線橋を駆け上り、駆け下り、列車に乗る。
車内では、広告で石田純一がパチスロ店の開店を告げている。
都知事候補になろうとしたり、パチスロの広告に起用されたりと、この人の仕事の幅には感服する。

東村山駅に到着。
高架化事業が進められていることを全く知らなかった。
西武園行の列車の発車時刻を待つため、小平での乗り継ぎファインプレーで獲得した時間を消費する。

のどかな単線を進み、西武園駅に到着。
車止めの先は崖にぶち当たる、見事なまでの終着駅である。

バス停に行くと、しばらく待てば所沢駅行の路線バスが来る模様。
西武園競輪のあたりをぶらつきつつ、バスの到着を待つ。
ところが、発車時刻になってもバスはやってこない。
発車時刻を5分すぎて、気づく。
今日は土曜日であるが、休日である。
僕が見ていたのは土曜ダイヤだが、今日は休日ダイヤで運行されていた。

悲痛な気持ちを携えて、西武園駅に戻る。
自動販売機で、「コカ・コーラ コーヒープラス」という商品を購入。
飲んだら、頭がスパークした。

東村山から、所沢で下車。
駅構内で昼食をとり、西武池袋線で西所沢、そして狭山線へと乗り継ぐ。
狭山線の車窓は、なんというか、遠くまで来てしまったという感じ。
車内でライオンズのユニフォームやアイテムを見かけたが、本日何があるのかは不明。

西武球場前駅で下車。
ひとまずバス停を探すが、やはり運行はないようなので、歩いて南下することにする。
狭山不動とは、何なのだろう。

ライオンズの練習場で出待ちする人以外、歩いている人とは一切すれ違わなかった。
村山貯水池を渡り、多摩湖の脇を進む。

道行かば 鐘が鳴るなり 多摩湖畔

途中、道を間違えてしまったようで、大きく遠回りしてしまう。
この辺特有の車のナンバープレートにおののき、自分の責任である尿意に悪態をつき、それでも都民の水がめを汚すこともなく歩き続け、西武球場前を出て約1時間で多摩都市モノレール上北台駅までたどり着く。

ここから、多摩都市モノレール全線を乗り通す。
乗客には、中学生、高校生、大学生が多い。
TVばかり見ていた僕とは異なり、週末に出かけるなど、彼らは健全な学生生活である。
立川で乗客が入れ替わり、高幡不動で乗客が入れ替わりしたが、終始混雑していた。
多摩動物公園を過ぎたあたりでトンネルに突入し、出たところで下りが続くところなど、ダイナミック。
もうしばらくは結構、と言いたくなるほどに、多摩を満喫する。

多摩センターで下車。
西に向かって歩く。
多摩センターで降りるのも初めてで、ショッピングセンターに歴史と風格を感じさせる。
銀行のオフィスビルなどを見ると、ここで過ごす一生に一瞬思いをはせる。
僕には到底無理だ。

坂を上って唐木田まで歩き、小田急多摩線。
小田急永山を過ぎ、トンネルを抜けると、下りが続く。
行けども行けども、住宅地。

新百合ヶ丘で降り、相模大野で乗り継ぎ、中央林間へ向かう。
時間が遅くなってきたので、中央林間からすぐに田園都市線。
記憶の通り、田園都市線の乗り場は地下にあったので、以前の僕はここを訪れたことがあったのだろう。

長津田で下車。
長津田に降りるのも初めて。
横浜線が乗り入れており、豪勢な駅構内である。
その外れにある、こどもの国線の乗り場から乗車。

こどもの国駅に到着したのは、17時過ぎ。
上り列車を待つ人たちで、乗り場はいっぱい。
幸せな家族は、かけがえない1日をこどもの国で過ごし、構成員間の絆を確かめたようだが、僕はおろかにも、同じ1日を多摩縦断に費やしてしまった。

しばらく待って、バスに乗り込む。
「ここが緑山か」と感心し、鶴川で下車した。


本日の乗りつぶし
西武多摩湖線: 国分寺 - 萩山
西武西武園線: 東村山 - 西武園
西武狭山線: 西所沢 - 西武球場前
多摩都市モノレール: 上北台 - 玉川上水、立川北 - 多摩センター
小田急多摩線: 新百合ヶ丘 - 唐木田
東急こどもの国線: 長津田 - こどもの国

2017年10月 月曜

その日、僕は秋葉原駅にいた。

諸般の事情から秋葉原駅から出発、しかも朝から缶ビールを飲みながらの電車待ちである。

後でわかったのだが、大船での変電所トラブルでダイヤが乱れ、この日の秋葉原駅は乗り場にたどり着くにも苦労するほどの混雑だった。
朝の通勤ラッシュ時の様子を、プラットフォームの上にかかっている踊り場からビールを飲みながら眺める。
京浜東北線の南行に乗りたいのだが、混雑が一向に解消されない。

いくつかの選択肢の中から、あまり選ぶことのないルートを選ぶことにした。
まずは、総武緩行線で東へ。
錦糸町で降りると、東京スカイツリーが間近に見えた。
東京スカイツリーを通勤時に毎日見たいのなら、新小岩在住がおすすめである。

錦糸町で総武快速線に乗り、東京を目指す。
馬喰町、新日本橋は、まだ発車ベルを用いていた。
案の上、総武快速線は東京で運行打ち切り。
上に出るのも面倒なので、発車まで時間があるが、隣の横須賀線に乗り換える。

品川で下車し、駅構内で朝ラーメンをいただく。
再びの横須賀線。
武蔵小杉からの車窓を改めて眺める。
新川崎を過ぎると、とても大掛かりな構造なのだ、と知る。

横浜で下車し、いったん改札を出て…、いや出なくてもいいのかな、とにかく京浜東北線の乗り場に。
タイミングよく、横浜線直通の列車が来たので、乗り込む。

東神奈川に着く前に停車。
しばらくして動き出し、東神奈川に到着。
そこからググっとのぼり、横浜線快速である。

もう10時を過ぎているのに、女子高生が列車に乗っている。
今日は試験があるらしく、3人連れで日本史の問題の出し合いをしていた。
もう1度言うけど、すでに10時過ぎである。

車内には、いわゆるリクルートスーツ姿の青年が幾人かいる。
今日は10月最初の平日で、内定式が行われる企業も多いようだ。
企業側が講義の都合を考えているのか知らないが、ともかく今日のダイヤ乱れは、新社会人にとって、最初の洗礼となった。

八王子駅に到着。
跨線橋を渡り、八高線乗り場に行く。
時間帯から推測し乗客は少ないものと決め込んでいたが、実際は座れるかどうかぐらいまで混んでいた。

見慣れない景色を経て、拝島。
ここから、五日市線に乗る。
秋川から少し離れた経路で西に進み、東京だかどこだかよくわからない車窓を眺め(まぎれもなく、東京だが)、高架になっている武蔵五日市駅に到着。

せっかくなので、秋川渓谷の入り口まで行ってみる。
健康でなければ引き返したであろう長い階段を下り、川のそばまで来る。
ここで釣りやらバーベキューやらできるそうだが、僕には縁遠い。

駅前のコンビニでパンを買って、休む。
向こうに、トレーラーバスが見える。
トレーラーバスが路線バスとしてこの辺を走っているとは聞いていたが、武蔵五日市を発着することは知らなかった。
ぜひとも乗りたいと思っていたのだが、今回は無理。
それでは次の機会にすればいいのだが、果たして僕はもう1度武蔵五日市を訪れることがあるのだろうか。

変化をつけるために、京王八王子駅行の路線バスに乗り込む。
ここから約1時間のバス旅。
上川霊園に行くことがあれば、ぜひとももう1度乗りたい。

与党の選挙対策事務所を車窓に見ながら、京王八王子駅まで到着。
昼食をとりたかったが、ここで食事をとると後の行程がつらくなるので、我慢。
京王線に乗る。

北野駅に到着。
知らぬ間に、全種別が北野駅に停車するようになったらしい。
立体交差に驚嘆しつつ、京王高尾線に乗る。
高尾線は、高い土地に設置されており、住民に不便でないのだろうか、とやや不思議。

高尾山口駅に到着。
駅舎を改装したのだろうか、とてもきれいで、温泉まである。
駅前にはホテルまであり、休憩可能。
土産がたくさん売られているが、賞味期限が1か月先のパンを含めて、食指が動かない。

少し歩いて、高尾山参道。
好物である酒まんじゅうが売られており、たまらず購入。

ケーブルカー乗り場に到着。
北島三郎の像がお出迎え。
チケットを購入し、ケーブルカーに乗り込む。
ケーブルカーにおける国内最大傾斜(608パーミル)を過ぎ、高尾山駅に到着。

これをもって、「東京完乗」を達成。

せっかくなので、薬王院まで歩く。
…遠い。
紅葉の時期にはまだ早く、山頂まで行かない限り景色がいいわけでもなく、近いわけでもなく、そもそも自然に興味があるわけでもない。
北島三郎が厚く寄進していることだけが、よく理解できた。

山頂は早々にあきらめ、下山。
天橋立、御岳山に続き、本年3回目のリフトで下る。
…怖い。

京王線の特急新宿行で帰宅。
久しぶりに都会に戻ってきたからか、新宿駅で逆方向の山手線に乗ってしまう。
僕としたことが!


本日の乗りつぶし
横浜線: 東神奈川 - 大口、新横浜 - 橋本
五日市線: 秋川 - 武蔵五日市
京王線: 北野 - 京王八王子
京王高尾線: めじろ台 - 高尾山口
高尾登山電鉄: 清滝 - 高尾山

2017年11月 金曜

その日、僕は西船橋駅にいた。

相変わらずせわしない駅である。
乗り換えたいのに、どっちに向かえばいいのかわからない。

「東京完乗」は終えたものの、1日余裕ができたので、気晴らしに出かける。

西船橋から総武緩行線に乗り、幕張本郷駅。
留置線や通過する成田エクスプレスなどを、しばらく見る。
ついつい引き込まれそうになるが、我慢。

幸いなことに、幕張本郷には一切縁がない生活を過ごしてきた。
駅前の開けた感じに、やや驚嘆。
ここからバスに乗る。

バスと言っても、国内で数路線しか走っていない連節バスである。
メルセデス・ベンツ・シターロで、海浜幕張を目指す。
この日は11月の休日、しかも幕張メッセでは大きなイベントが行われていないので、さほど混んではおらず、連節バスの本領発揮とはいかなかった。

幅広い道路を越え、物々しい会社名のビル群を過ぎ、海浜幕張駅に到着。
初の連節バスとはいえ、こんな感じでしょ。

海浜幕張から、京葉線。
外環とのジャンクション予定地を見ると、工事はかなり進んでいるようだ。
本年度中の開通を、切実に願う。

列車は、舞浜駅に到着。
もう1度言うが、この日は11月の休日。
人がいないわけがない。

舞浜リゾートラインで、リゾート周辺を一周。
信じられないかもしれないが、ただ一周しただけで帰途に就く。


本日の乗りつぶし
ディズニーリゾートライン: 東京ディズニーシー・ステーション - リゾートゲートウェイ・ステーション